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4話 御薬袋幸

天界のエピソードはpixiv版では3話に入れました。それ以降は新規の文章になります

執務室で仕事していると声をかけられた。声の主は天使長であるユウカだった。

「神様、お客様がいらっしゃってます」

「どなた?」

「閻魔様です」

「は!?…お引き取りくださいと伝えておいて」

「ですが…」

「やあヒカリ。帰れだなんて酷いなぁ」

ドアを開けて閻魔とその秘書が入ってきた。


「閻魔…天使長!なぜ連れてきたの!?」

「大事なお話があると仰っていたので」

「~っ!まあ、いいわ。大事な話って何?あの話ならやめてよね」

「今はあの話じゃない。ヒカリ、君は天使を使って榊原くんの運命を変えたろ」

「!…ええ、そうよ。闇の神にはお説教されたけどね。あと気安く名前を呼ぶのはやめなさい」

「ふぅん…やっぱりそうか…後これはぼく個人の話なんだけど」

「何?わたくしは暇ではなくてよ。手短に済ませなさい」

閻魔が一瞬、顔を顰めた。自分も暇ではないといいたいのだろうか…


「シオリの───────」


光の神、ヒカリはその事に気づいていなかった。


**********


御薬袋幸(みないさち)と友達になると決心した翌日のこと───────


「御薬袋さんってやめろよ。幸って呼んで」

「わかりました」


「次は移動教室だ。一緒に行こう」

「ええ」


「ここボクのお気に入りの場所なんだ」

人気(ひとけ)がなくて落ち着きますね」

彼女はエコバッグからレジャーシートを取り出し、その上に座った。彼女にならい隣に座る。今は昼休みで幸は昼食のお弁当を手にしている。

「ところで、詩織」

「なんでしょうか」

「食べ物が見当たらないけど昼食はどうするんだい?」

念の為あたりを見渡して人がいないことを確認してから言う。

「私に食事は必要ないのでコレで十分です」

手にしたペットボトルを見せる。

「水だけ?」

「はい」

「そうか…そういうものか…」

「食事は億劫で…水分で事足ります」

すると幸はムスッとした表情になった。

「食べるとは生きることだ」

死にたがりの癖に真っ当なことを言うなんて…

「そうですけど…私は人間とは、ちがむぐぅ」

口の中に何かを突っ込まれたので大人しく咀嚼する。幸は得意げな表情でこう言った。

「母上の卵焼きだ。美味しいだろ?」

「ごめんなさい。わかりません」

「は?」

「生まれつきなのかはわかりませんが私は味覚が消失しています」

「え…あ…死神ってみんなそうなのかい?」

「いえ味覚がないのは私だけです」


「「………………………………」」


沈黙が流れる。微妙な空気を打破すべく私は疑問点を口にした。


「幸、あなたは周りから嫌われているのですか?」彼女といると他の人間が寄ってこない。私としては賑やかなのは苦手だし人間が嫌いなので囲まれるのは困る。なので今日は快適に過ごせている。

「…普通の人から見ればボクは不気味なんだろうさ」

「?…不気味とは?」

「ほらボクって霊感が強いだろ?だから見たくもないモノが見えるし邪魔な場合、清めの塩を撒くのさ」

「対話で解決する場合はそうしてるけど周りには何もないところで話しているように見える」

「幽霊や人外が見えるなんて言っても嘘つき扱いだよ」

「苦労してきたんですね」

死神も無限じゃない。人間と同様に疲れもするし過労で消滅することがある…ただの幽霊ならともかく悪霊だった場合は浄化活動を行わない天使の怠慢だが───────

「いやたぶんボクより母上の方が苦労してるよ」

私の疑問を感じとったのか幸は続けて話した。

「ボクは生まれつき霊感がすごく強くて…そのせいか霊に狙われやすい。だから幼児のボクを守るのが大変だった」

「つまり身体を乗っとりたいという悪霊がわんさかいたと?」

「たぶん」

白の天使仕事しろ!黒は仕事熱心らしいのに!

ちなみに白は光の神の眷属で黒が闇だ。他の神の眷属は精霊と呼ばれるが…あまり関係ないので割愛しよう。


「あの…それは自殺の動機と関係していますか?」二重人格という事情を知ったからには聞かずにはいられない。

「あー今はダメ。昼休み終わるし」

「そうでした」

袖をめくり腕時計を確認すると12時50分だ。


「どうせなら榊原がいる時に話すべきだ」


レジャーシートを片付ける音で幸の小声はかき消された。


**********


「詩織、一緒に帰ろ!」

「えっと…ごめんなさい。先約があるので」

幸の笑顔が消えた。

「誰?」

「榊原くんです」

隣の彼が申し訳なさそうな顔をしている。

「ふーん…ならちょうどいい。3人で帰ろう」

「わかったよ」

「異論ありません」

「2人に話したいことがあるんだ」

次回で幸の自殺の動機の話をします

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