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とある若い男女が見ていた夢は

作者: 乃木太郎
掲載日:2022/06/21

「お前、大丈夫なのか」

「何がって……ヘレン嬢のこと」

「彼女が突然いなくなったんだ」

「会いに行かなくていいのか」

「会いに行ってどうするんだ」

「どうするって」

「彼女はもう他のやつと結婚するんだ」

「……」

「話すこともないし、目も合わない」

「いいのか」

「いいも何も……彼女にとって俺はそんな程度だったんだよ」

「会ったほうがいいんじゃないか」

「会いに行って、どうする?」

「……」

「他の男と笑い合ってたら?抱き合ってたら?それを見てお幸せにって言うのか?」

「……」

「そっとしといてくれないか」

「そうだな。お前だって、結婚が決まったんだ」

「……」

「若い頃は夢見がちになるって聞いたことがある」

「夢」

「きっといつか、いい夢だったって思うだろう」

「夢……。そうか、夢か。そうだ、覚めただけなんだ」


※ ※ ※


「お嬢様、これでよろしいのでしょうか」

「あら、この髪飾り、変かしら?」

「髪飾りのことではなく……」

「もうすぐいらっしゃるわね」

「わたしは、お嬢様に」

「思うのだけど」

「……」

「わたくしに会いに来てほしいなんてきっと思ってないと思うの」

「どうしてそのようなこと」

「あちらも、素敵な方とご結婚がお決まりになったのよ」

「……」

「会いに行って、その方と睦まじい様子を見たら。……その方を、あのお優しい目で見ていたら。そんなの」

「お嬢様」

「そんな恥ずかしいこと」

「でも、でもお嬢様」

「話すことも、目を合わせることも、もうないのよ。以前のようになることはないの、決して」

「……」

「わたくしは貴族の娘だもの。自分の感情よりも大切なことがあることを理解しているつもりよ」

「……」

「楽しい夢だったから、いいの」

「夢だなんて」

「夢から覚めて、現実を生きなければ」


※ ※ ※


目覚めたくても、目覚めたくなくても、朝がきたなら目を覚まさないといけない。

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