作中兵器紹介(砲戦ドクトリンも含む)
この世界の艦砲に関する点について、皆さん疑問じゃないとは思うけど、俺が書きたいから書く説明の回です。それではさっそく
その1・RAPについて
大砲の射程延長について考えられる手は三つ、発射弾体に推進剤を詰むか、空気抵抗を減らすか、初速を上げるか、です。
発射弾体に推進剤を積む方法はミサイルと変わりません。距離はかなり稼げるでしょう。ですが、難点は砲弾に推進剤積むわけだから、威力が全く期待できません(砲弾に積める推進剤にかなり食われる)それに、長射程であるが故に命中には誘導装置が必要となった為(100キロを越えるとなれば当然だ)更に威力と、ミサイルと同様に装甲貫通力を失ってしまうので、兵器としての用を為さずとお蔵入りしています
次に、空気抵抗を下げる方法になりますが、これはRAPやAPSFDSが該当します。RAPはロケットアシストの名の通り推進剤を少量搭載します(故に炸薬は少し減ります)が、これは飛ぶ為のものではなく、砲弾後部に発生する空気抵抗の渦を消すものです。なぜ、この作中で戦艦砲弾にRAPが使われたかと言うと、戦艦が持つ巨砲であれば威力の低下もある程度で済むし、なにより、射程もミサイル砲弾程でない為誘導装置が必要とせず、なおかつ貫通力に問題が発生しないのが大きい利点だったからです
では、APSFDSはというと、確かにとんでもない貫通力を持ちますが、長距離の砲撃には完全に向かない砲弾かつ、抵抗を少なくするために細長くした弾体、装弾筒は砲弾そのものの威力を下げ(戦車は砲撃距離が短く、戦車内の空間も小さいので使われるのだ)安定翼は横風を受けて容易に砲弾の弾道を歪ませるとあっては、不採用とせざるをえなかった訳です
では、最後の初速を上げる方法。これにも二つのやり方があります。一つは口径長を長くする事、大和級の18in主砲を45口径から50口径に変えたりするのは良く見かけます。間違いではないのですが、この世界では主砲口径と口径長は条約で延ばしては駄目となってますので、砲の数字は元のままです。数字を変えずに新式砲に変更は出来るので、実際のカタログはかなりとんでもないことになってます
そしてもう一つが強装薬、弾を撃ち出す火薬の量を増やしてしまえばいいという、単純かつ明快な方法であります。史実アイオワ級もこのやり方で44キロの射程を記録していますが、砲は開発した当時のままだったのもあってか、案の定爆発事故を発生させています。
この世界では砲開発の予算がかなり投入されているため、かなり大量の強装薬でも撃てるように改装が各艦で為されており、8in砲でもかなりの射程を持つようになっております
その2・核砲戦について
この世界の大国に所属する戦艦と重巡は、常に核砲弾を門数分だけ搭載しています。弾頭は20Ktを基準に、RAPによる最大射程ぐらいで撃ち合うのが想定されています。至近距離で使わないのはEMP対策の為だけでなく、近距離であれば相討ちになる可能性が高いというのが考慮されたからです。
この20ktの核弾頭の空中爆発による危害半径は爆心地より400メートル(史実ビキニでの酒勾のデータによる)この範囲に急転舵で着弾予測地点から離れられる速度を各主力艦艇には改装の際求められています。数値的な物でいうと、最悪直線で一分(対砲レーダーで着弾地点がおおよそが知れて、残っているであろう時間を想定)で1000メートル走り切ることができれば、直撃は避けられるわけですから、最低29ノットが発揮できる事が必要と言うのがわかるでしょう。
勿論、人員的な損害は免れませんし放射能による身体への障害も考慮されますが、兵員は海戦内で耐えられればそれで十分ですし、後は艦体の洗浄後入れ換えれば良いと帝國海軍は考えております。
ですので、パイロットと同じく戦艦と重巡にはもう1セット乗員が本土に控えるという形を採っております
なお、本気で核砲戦を行うつもりの帝國海軍は、その最初の決戦場をチリ沖合、ガラパゴス諸島近辺の島嶼が存在しない(回避行動を阻害されない)海域としておりこう呼んでいます。核の園と
以上が大まかなこの世界での遠距離砲戦のドクトリンとなります。架空戦記でもわりかし核や超兵器が最終兵器みたいな感じで、使えば終わりみたいな感がありますが、どう核のパイ投げを行うか考える一助となれば、幸いです。