098 ストーンキャノン発動練習
明日には王都へ帰らなければならないので、リヴァスト領で行動できるのは今日までだ。
朝食後、ブレンダの操車で馬車は一路荒野へ向かう。ごめんね、ブレンダ。馬車の運転、私も覚えたかったな。まぁブレンダ本人は馬車を操るのが楽しそうだけど。
「では二つのグループに分かれてそれぞれで発動練習しましょう。3人のグループと4人のグループになりますね」
私の発言にお兄様が答える。
「できるだけ魔力量の総量が同じになるようにしないと、3人のグループのほうが魔法を発動できないかもしれないね」
「ええ、ですからお兄様とペリーヌにアレン様を加えた3人のグループと、残り4人のグループで良いのではないかと思います」
アレンが不満そうに私を見るけど、仕方ないじゃない。総体重(総魔力量)の均一化を考えるとそうなるんだよ。
「いや女の子だけのグループになるのは心配だな。僕とペリーヌとブレンダの3人と、アレン君、マリア、ルーシー、ロザリーの4人で良いんじゃないかな?」
お兄様の提案にアレンが目を輝かせてるよ。
「うーん、ブレンダがそれで良いのなら…」
「大丈夫だよ、マリア。ラブラブカップルのお邪魔虫になるのは少し気が引けるけどね」
ブレンダ、良い子だな。まじで。でも、ペリーヌが赤くなってるよ。
結局、お兄様の提案通り、二つのグループに分かれてストーンキャノンを練習する。これは魔法陣の発動テストも兼ねているので、不具合対処の相談役としてアレンがすぐそばにいるのは、正直言って心強い。
どちらのグループも硬度5でしか発動できないので、爆発の威力は前回の実験のときの半分だ。それでも閃光、轟音、爆風は襲ってくるけどね。
起動時に消費する魔力量が2であることも分かった。私以外の人が発動するにあたって、発動前後の魔力量を鑑定魔法で調べた結果だ。
体重50キログラムを平均とするならば一人当たり25回は発射できるということになるね。
ペリーヌとブレンダは少し苦労しているようだけど、そこはお兄様がフォローしてあげてるようだ。
こっちはアレンやルーシーちゃんは問題なく発動できてるけど、ロザリーちゃんが少し苦労してるね。
約2時間ほど練習して、一人当たり平均10回は発動したかな。って7人分で70発だよ。
2キロメートル先の地形が変わっているけど、これって問題ないのかな?後でリヴァスト侯爵様から怒られない?
「全員問題なく発動できるようになりましたね。どうやら魔法陣の不具合も無いようです。このあとは二日目に訪れたきれいな丘に向かって、そこで昼食にしませんか?」
「賛成、賛成。もう一度行きたかったんだよね、あそこ」
ニコニコして即座に賛成するブレンダ。アレンによると『星の丘』と呼ばれているらしい。晴れた夜に見る満点の星空がきれいなんだって。
次の日、王都へ帰還する日だ。リヴァスト領と王都は近いから、朝に出発して夕方には帰り着くね。
5人の密偵も今日全員解放する。屋敷に軟禁状態だったんだけど、待遇はとても良かったようで、全員顔色もよくニコニコしている。てか少し太ったんじゃないか?
帰りの馬車はプロの御者にまかせて、ブレンダは私たちと一緒に馬車の中だ。そりゃそうだ。
それにしても今回の旅、とても実りある充実した旅だったね。アレンには本当に感謝だよ。




