092 捕縛作戦
結局三日目も荒野の実験場には行けなかった。
いい加減フラストレーションがたまるよ。
捕らえた帝国人を屋敷に連行し、本格的に取り調べを行う。せっかくのお弁当を無駄にしたくないので、私のアイテムボックスに全部収納した。時間経過無しだからね。
別に犯罪行為を犯しているわけじゃなかったのだろう。案外素直に吐いてくれたよ。盗賊まがいのことをやってたら隠そうとするだろうけどね。
1年ちょい前にヨシテル氏の報告を受けた皇帝が、リヴァスト家の秘伝の技術を探らせようと密偵を送り込んだらしい。
ああ、1年生のときの武術大会。そういえばアレンはリヴァスト家って名乗ってたな。
「マリアさん、ごめん。どうやら僕のせいみたいだ」
アレンが申し訳なさげに私に謝罪した。いや、あれはあれで痛快だったから大丈夫ですよ。
でも、どうしたものかな?
入り込んだ密偵は総勢5名らしい。
全員を国外退去処分にしたいんだけど、すぐには無理だな。
外交問題化して穏便に王国を退去してもらうにしても時間がかかりそうだ。
残り4名を捕縛するのも無理っぽい。生死を問わずだったら割と簡単だけど、無傷で捕らえるのはさすがに難しいよ。
捕らえられた者を奪還するため、屋敷を襲撃してくれれば良いんだけどね。まぁそんな無謀なことはしないだろう。
もしも私が帝国側だったら、客人の一人を誘拐して交渉材料にするかな。
おとり捜査じゃないけど、こちらが隙を見せれば食いついてくるかもしれないよね。
この仮説に基づき、私が誘拐される役に立候補すると全員から猛反対された。
いや、私だったら無詠唱で何でもできるし…。
まぁ、薬で眠らされたりするとやばいか。眠ってる間に犯されたりすると困るしね。困るどころの話じゃないけど。
うーん、ただ単に私たちが荒野に行ってる間、密偵たちを屋敷に拘束して、王都に帰る際に解放してあげれば良いだけなんだけどね。
いっそのこと今捕まえている帝国人を人質にして、残り4人が姿を現すように脅せばどうかな?
現れないと処刑するとか言って。
「うーん、それは試してみる価値はあるかもしれないね。帝国人の仲間意識に期待して」
アレンも消極的賛成のようだ。
四日目、領都の中の至る所に立て看板が掲示された。
今回捕らえた盗賊らしき者は仲間が全員出頭しない限り速やかに処刑する。明日中に残り4名が出頭すれば5名全員の命及び身の安全を保障する。状況によっては事情聴取だけで解放する用意もある。
…といったことが書かれている。
さあ、明日が楽しみだな。




