086 ストーンキャノンの開発①
7人が輪になれば5000から6000の魔力量の魔法を扱えることが分かった。
次はこの規模で攻撃魔法を撃つとどの程度の威力になるのか、だな。
うちの魔法練習場では実験できない(三重の防御結界装置でもおそらく耐えられない)ので、実験場所を考えなくてはいけないな。
「マリアさん、それならうちの領地にちょうど良い場所があるんだ。学院が夏休みになったらみんなで来ないかい?ここにいる全員を招待するよ」
リヴァスト家の領地は王都のある王領のすぐ隣で、馬車で行けば一日で着く。あっという間だな。
近いからみんなの負担も少ないだろう。でもなぁ。
「アレン様、侯爵家の領地へのお招きはありがたいのですが、私たちにとっては敷居が高すぎますよ」
男爵家であるお兄様と私にとってもそうだが、準男爵家であるペリーヌから見れば本来なら雲の上の存在だよ。ブレンダに至っては平民だからね。
「うーん、そういうの気にしてほしくないんだけどなぁ。正直に言うと僕には友人が少ないから、今まで誰かを領地の屋敷に招いたことがないんだ。だから両親も屋敷の使用人たちもとても喜ぶと思うんだけどなぁ」
ふむ、そう言われると弱いな。それに王都のお屋敷には幼いころから頻繁に遊びに行ってるから、まぁ今更か。
「うん、ここはアレン君からの申し出を受けさせてもらおうよ。皆はどうかな?」
お兄様の言葉に私を含む残り全員が同意した。
よし、これで夏休みまでに実験できるような攻撃魔法の魔法陣を開発しておけばOKだね。三か月はあるから余裕だな。
まずはどの属性をベースにするか、だな。
攻撃ならやはり火かな?でも恐ろしい規模になることが分かっているから火だとちょっと怖いかも。私たちにも被害が及びそう。
水や風や光は攻撃力という観点で考えると少し弱い。とすると残すは土系統になるね。
魔導書にあった『ストーンライフル』がライフル銃で、それを私が改造した『ストーンライフル改』がショットガンだ。これをさらに大きな弾丸(砲弾)にすれば大砲になるよね。
撃ち出す砲弾に遅延発動する爆発魔法を仕込んで、着弾とともに炸裂するなんてできないかな?さすがに無理かな?
前世における105ミリ砲や155ミリ砲、いやいっそのこと大和級戦艦の主砲なみに46センチ砲なんかどうだろう。夢が広がる。
まぁ、いずれにせよ戦略級とは言えないけどね。前世基準だと、やはり戦術級魔法ではある。
7人全員が常に集まれるわけでもないし、うちの魔法練習場では発動実験もできないので、アジャイル開発がいつものスタイルである私としては非常に開発しにくい。
大規模開発の定番であるウォーターフォール手法で開発するしかないか。
つまり、設計よりも実装というスタイルのアジャイル開発ではなく、設計を重視する段階的詳細化技法を用いた開発手法だね。
砲弾に遅延発動魔法を仕込めるかだけは実験で確かめられるから、これだけは実現可能性を検証しておこう。
よくよく考えたら三か月じゃ全然足りないよ。




