083 3年進級
3年生になった。
今年も友人たちは私も含めて全員Aクラスだった。
お兄様は最上級生の5年生となり、1年生にはルーシーちゃんの2つ年下の妹であるロザリーちゃんが入学している。
なお、お兄様とロザリーちゃんもAクラスだ。
強盗事件の影響で、ブレンダの宿屋には警備員が数名常駐することになった。その予算は王宮からも半額出るそうで良かったよ。王室御用達の宿屋が安全でないのは困るからね。
マジックガードの習熟度に関しては6人全員がそこそこの技量にまで到達している。
複写発動された無詠唱魔法にさえ対応できるようになっているね。あと魔法陣の魔法については、ファイアボールやウォーターボールなどの遅い魔法なら火球や水球が現れた瞬間にマジックガードを発動することで防げるようになった。でもストーンライフルを防ぐのは無理だった。こればかりはお兄様ですら無理です。
そのお兄様はペリーヌと正式に婚約した。
おめでとうございます、お兄様。おめでとう、ペリーヌ。まだお義姉さまとは呼んでいないけどね。
ルーシーちゃんの妹さん、ロザリーちゃん。ロザリー・フォン・シャミュア嬢はルーシーちゃんによく似たとても可愛らしくお淑やかな子だ。
ルーシーちゃんの家に遊びに行ったときによく顔を合わせているので、私とも仲良しなんだよね。
今回の入試についてはお姉ちゃんからかなり鍛えられたのか、なんと新入生総代になっていた。すごいよ、ロザリーちゃん。
「マリアお姉さま!」
そのロザリーちゃんがルーシーちゃんと一緒に歩いていた私に声をかけてきた。
「ごきげんよう、ロザリーちゃん。新入生総代になれて良かったね。私も嬉しいよ」
「ありがとうございます。マリアお姉さまやルーシーメイお姉さまの魔法指導のおかげです」
実技を『魔法』で受験して、かなりの高得点だったらしい。
私たちと一緒だね。てことは『魔法』の受講は拒否られるかもしれない。まぁ『武術』の授業も面白いよ。
あと、現下の社会情勢だけど我が国はとても安定している。税率の高い貴族領地で不穏な気配はあるものの、一揆までもいかず革命など程遠い。生きるか死ぬかまでは追い詰められていないということか。
うちの領地、シュトレーゼン家の男爵領は税率も低く、住民は幸せに暮らしているらしい。銀鉱山があるのに加え、代官が優秀だからね。
でも外国の情勢は割と不穏だ。
ガルム帝国の拡張政策がかなり露骨なんだよね。我が国の隣に位置するガルム帝国はほかにも他国と接しているんだけど、そちらの国への圧力(というか、武力を背景とした恐喝だね)がかけられているみたい。
難癖をつけては賠償金を請求したりするのはかわいいもので、領土の割譲要求など相当ひどいことをやってるらしい。
王国としては帝国の国力がこれ以上強大になるのは困るんだけど、困らされている国々は王国の同盟国ってわけじゃないから何も言えない。
多分ガルム帝国の皇帝は我がグレンテイン王国への侵攻も考えていると思うんだけど、今のところは王国以外の国々を相手取っているだけだ。侵攻時期がいつになるのかは不明だけど、そんなに遠い未来じゃないと考えている。
お兄様や私、それに友人たちの力を借りれば帝国相手でもかなりの善戦が期待できると思う。だけどいかんせん、人数が少なすぎるよ。たった6人だからね。
本格的な戦争が始まるまでには何かしらの対策を考えておかなきゃならんなぁ。




