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082 事件の後始末

 状況開始から終了までほんの一瞬の出来事だった。

 あっという間に強盗団を壊滅させたわけだが、手当てが必要な敵も多く出た。まぁ私としては死んでも構わないんだけど、戦闘に参加した皆が人殺しのトラウマとかにならないようにしたいからね。

 ブレンダの母ちゃんを拘束していた男は両腕を失って出血多量で死ぬかもしれないけど、あれは私がやったことだから大丈夫。

 ルーシーちゃんは一人の男の右腕を貫通させただけだし、ペリーヌは拳で気絶させた男と右腕を斬り飛ばした男がいるけど、どちらも命に別状はなさそうだ。

 ブレンダが倒した男は腹を貫通させていたので、当たり所によっては死ぬかもしれない。まぁ母親を助けるためなんだから折り合いはつくはずだ。


 警吏(けいり)を呼びに行った人や強盗団の手当てをする人。それに気絶したやつと降伏したやつを縛り上げる人。血糊(ちのり)を拭き取る人もいるな。皆さん、忙しそう。

 私たちを含む宿屋側の従業員に死傷者は皆無で、金庫の金も戻った。ブレンダの両親は青ざめてはいるものの元気そうだ。


 なんとか最良の結果で終わったな。

 ルーシーちゃんの私を見る目が崇拝とかそんな感じに変わってるのが少しだけ気になるけど、まぁ些細(ささい)なことだ。

 本当に私たちが居合わせて良かったよ。


 数時間後、警吏の事情聴取からも解放され、ほっと一息です。もちろん私たちにお(とが)めは無く、逆に称賛されたよ。

 強盗団6人は全員命が助かるとの医者の見立てだ。一人も殺さずに済んで良かった。

 両腕を失ったやつはこの先、生きづらいだろうけどね。


「誠にありがとうございました。本当に感謝しかありません」

「本当に。人質として連れ去られ凌辱(りょうじょく)されてから殺される。そんな未来を(くつがえ)してくれた皆様には感謝の言葉しかありませんわ。ブレンダもありがとうね」

 ブレンダの両親からのお礼の言葉だ。

 いや、友達なんだから当然のことですよ。


「マリア、私からもお礼を言わせて。マリアの指示が無ければどうなっていたか」

 ブレンダの言葉にペリーヌも同調する。

「本当に的確な指示だったね。僕も剣で活躍できたことが嬉しいよ」


「マリアちゃんは天使様なんですから、これくらい当然ですわ。むしろ強盗団はマリアちゃんに倒されて感謝するべきでしょう」

 いや、ルーシーちゃん、私は天使じゃないし、倒されて感謝っておかしいでしょう?

 もうね、ツッコミどころが満載です。


 お礼に昨日の個室で昼食を食べていってほしいと頼まれ、もうそんな時間なのかと驚く。

 あれ?さっき朝食をとったような気が…。


 血なまぐさい状況の後だから食欲が出ないかと思いきや、みんな普通に食事していた。私もな。女の子は血を見るのに慣れているというか、血に強いよね。

「マリアちゃん、さきほどの戦闘で使ったのはストーンライフルではありませんわね?」

 くっ、やはりばれたか。威力が違い過ぎるよね。


「うん、あれはストーンライフルを高威力に改造したストーンライフル改だよ」

 通常のストーンライフルが小口径の弾丸で貫通力を重視しているのに対し、私が改造したものは大口径の弾丸で貫通力よりもストッピングパワーを重視したものだ。

 言うなれば、ライフルではなくショットガンだな。

 もう私が魔法陣を描けることはばれてるんだから、改造できるくらいは大した話じゃない。


「分かりましたわ。教えてくださりありがとうございます」

 ルーシーちゃんは魔法陣がほしいとは言わなかったから良かったけど、あまり教えたくないんだよね。殺傷力が強すぎるので…。あ、お兄様だけには教えてます。


「でもさっきの戦い、ホントにすごかったよねー。私も手か足を狙えれば良かったんだけど、自信が無くてお(なか)を狙ったんだよね」

「ブレンダ、それが正解だよ。胴体が人間の身体の中で一番狙いやすいんだからね」

 ブレンダの言葉に私が答える。狙いを外すよりも何倍もましだ。


「相手は何が何だか全く状況がつかめなかったでしょうね。ペリーヌの突撃も見事でしたわ」

「うん、僕も我ながらベストな動きができたと思うよ。念のためタイムストップを2回使ったけど、必要ない相手だったかもしれない」

 私とルーシーちゃんとブレンダが一人ずつ倒したのに対し、ペリーヌだけが二人倒してるんだよね。うん、見事です、お義姉(ねえ)さま。


 後日談だけど、この強盗団捕縛の功に対して学院の全校集会で表彰された。

 4人全員が壇上でそれぞれ表彰状を受け取ったんだけど、講堂に集められた全ての学年の学生たちも目を輝かせて拍手をしてくれた。

 恥ずかしくも誇らしい気持ちになったよ。


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