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078 アレン・フォン・リヴァストの回想⑥

 2年生に進級したが相変わらず友達は4人しかいない。しかも全員女の子だ。

 クラスメイトの男子からはハーレム野郎とか思われてそうだが、侯爵家である僕に面と向かって言う者はいない。言ってくれれば、そこから話を(ふく)らませて友達になれたりするかもしれないのになぁ。

 それはともかく、全員がAクラスになれたのは良かったな。


 武術の授業では剣術を選択した。幼いころから学んでいるからね。

 授業中、ちょいちょいタイムストップを発動しているが、これは仕方ないだろう。帝国のヨシテル氏を負かした人間が授業で一本取られるわけにはいかないよね。うん、仕方ない。

 それよりもマリアが剣術を選択してくれて良かったよ。僕の目の届くところにいてほしい。いつでも守れるように。


 ある日、友達全員がマリアの屋敷に招かれた。

 ちょくちょく遊びに行ってるが、全員(そろ)うのは珍しい。何か重要な話でもあるのかな?

「皆さん本日はようこそおいでくださいました。ふふ、今日は重大なお話があります」

 え?まさか婚約の話とかじゃないだろうな。シュミット様の婚約なら良いけど、マリアだったらショックだ。いや、婚約話は裏で全部つぶしてるはず…。

 少し驚いたけど、魔法の話だと分かってほっとした。


 魔法練習場では左右に分かれてシュミット様とマリアが向き合う形で立っている。距離は30メートルくらいかな。練習場の両端だ。

 いきなりマリアが詠唱を始めた。

「指先から火の矢を射出せよ。ファイアアロー」

 射出された小さな火の矢はシュミット様に直撃する。いや、当たるはずだったが、シュミット様の前には半透明の板状のものが出現し、それが火の矢をはじいている。

 防御結界?練習場の周囲には設置型の防御結界装置があるが、今のはどう見ても携帯型だ。でもおかしいな。結界は目に見えないはずだけど。


 疑問が解消されぬまま、今度はシュミット様が魔法を発動した。

「指先から極めて細い水流を高速で射出せよ。ウォーターカッター」

 なんてことを!マリアに当たったらどうするんだ?

 ところがマリアの前にも先ほど見たのと同じ形の結界(?)が出現して水流を遮断した。


「マリアさん、それは魔道具、携帯型防御結界なのかい?いや軍用の機材を手に入れられるはずがないか」

「そうですね。魔道具は使っていませんよ。これは魔法技術の一つです」

 防御結界装置じゃないって?だったら今のはどうやって?

 その謎に正解したのはルーシーだった。くそっ、ちょっと考えれば分かるじゃないか。僕が指摘したかったな。


「まあまあ、天使様がまた奇跡をこの下界にもたらしたのですね。なんて素晴らしい」

 ルーシーの言葉に僕も同感だ。まぁ本当の天使じゃないけどね。


 それからマジックガードの魔法陣の説明を受けて、さらに驚愕した。高威力のファイアボールを防げるって?

 でも、本当は完全に透明な板状にできるんだけど、怖いから半透明にしたと聞いて微笑ましい気持ちになったな。やはり女の子なんだよね。マリアは天才だけど、そういうところが身近に感じられて親しみやすいところだと思うよ。


 あと、最後にマリアが言った言葉と態度には感動したよ。

「皆さん、これは絶対に暗記して、いつでもすぐに発動できるように練習してください。どうかお願いします」

 マリアに頭を下げられたけど、それが僕たちのことを思ってのものだと全員がすぐに分かった。やはりこの子は優しくて素晴らしい女の子だ。


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