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073 マジックガード【解析】

 まず考えたのは防御結界の魔道具はどのようにその機能を実現しているのか?ということだ。

 てか、魔道具全般に言えることでもあるんだけどね。

 プロに聞いてみるのが最も早いんだけど、教えてくれるかな?


 男爵家ご用達の魔道具店店主に尋ねてみたら門外不出の秘伝で、たとえ王様の命令でも明かせないと言われたよ。

 魔道具職人はその技術を師匠から受け継ぐんだけど、師事する際に誓いを立てるそうだ。自分の認める弟子以外には技術を教えないということを。

 なんかすごいな。


 じゃあ仕方ない。分解して調べるしかないな。リバースエンジニアリングですよ。

 明かりを照らす照明の魔道具をばらしてみたら、四角い箱があってその上に魔石が固定されていた。

 さらにその箱を開けようとしたけど、開けられない。

 ネジとかないし、溶接によって閉じているようだ。ふむ、いわゆるブラックボックスですな。

 材質は鉄みたいなので、鉄用の切断工具で無理やり開いてみた。でもその瞬間、箱の中に火花が散って内部機構が焼け焦げた。空気が入った瞬間、発火するようにしてたのかな?

 タンパーレジスタンス。耐タンパ性ですよ。つまり、内部構造を調べられないようにされている。

 鑑定魔法で以前調べたけど、この照明の魔道具一つで50万エントもするんですけどね。うわぁ、壊しちゃったよ。絶対怒られる。


 ちなみに魔法練習場に設置している防御結界の魔道具は一つ300万エントで、それが最初は5つあった。現在は結界を三重にしているので合計15個設置している。総額4500万エントだね。

 軍で使っている携帯型防御結界装置の値段は知らないけど、多分100万エントくらいはするんじゃないかな?昔、見たときに鑑定しておけばよかったな。

 なんにせよ、防御結界の魔道具を分解しなくて良かったよ。被害額50万円で済んで良かったと思っておこう。いや、良くないけど。


 いきなり暗礁(あんしょう)に乗り上げた感はあるけど、既存の魔道具の解析に頼らず開発を進めていくしかないね。

 でも分解によって分かったことが一つ。予想に反し、魔法陣は使われていなかったってこと。

 しかもどうやら魔石のエネルギーだけで動いているようで、自然魔力吸収はやってないっぽい。


 私が予想していたのは魔法伝導率の高いミスリルの板に魔法陣を描いて、スイッチ経由で魔石と魔法陣のスタートアップを(つな)いでいるのではないか?っていう極めてシンプルな機構だ。

 てか、それで魔道具を実現できんじゃね?

 でも壊れたブラックボックスの中には複雑な機械類だらけで、見てもなんだかよく分からなかった。ソフトウェアは得意だがハードウェアは苦手なんだよ。

 少なくとも魔法陣は見当たらず、焼け焦げたプログラムらしきものの一部と推測される金属板があったくらいだ。

 これらから推測できるのは、プログラム実行はインタプリタ型で、この世界(OS)の上で動くVM(ブイエム)(バーチャルマシン…つまり、仮想マシン)が自然言語か中間言語で記述されたプログラムを実行する方式じゃないかな?

 複雑な機械はVMを構成しているんだと思う。多分だけど…。


 ハードに苦手意識を持つ私は魔道具作りには興味が持てないけど、ミスリルの板と魔石が手に入ったら魔法陣を使った魔道具を実験してみたいな。

 もっとも、どちらも高価なのでなかなか手に入れられないけどね。


 どのようなAPIをコールしているのかも分からない状態なんだけど、存在することは確かなんだからあとはそれを見つけるだけだ。

 とにかく防御結界の魔法陣は絶対作ろう。照明の魔道具の尊い犠牲を無駄にしたくないからね。


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