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066 タイムストップの練習②

 学院が夏休みの間、私たち魔法陣仲間は頻繁(ひんぱん)に会ってタイムストップを練習している。

 アレンなんか武術の練習中だけでなく、日常生活の中でも頻繁に発動しているらしい。食事中とか、入浴中とか。

 やる気があって結構なことだが、なんか私だけ置いてけぼりをくらっているような気がしないでもない。

 開発者なのに最も発動が下手ってことになるかもしれん。

 ルーシーちゃんやブレンダがいるだろうって?この2人はすでに私よりも上手に発動してんだよ。なんなの?才能なの?

 ペリーヌは元々身体を動かすことが得意な武術組。めちゃ上手に発動してますよ。お兄様の隣に立つためかもしれん。愛だな。


 今日はアレンとペリーヌがうちに来ているんだけど、お兄様とアレンの剣を使ったガチの試合が始まるようだ。

 アレンがお兄様に手加減無用の試合を申し込んだのだ。無謀じゃないか?

 なお、剣の刃はつぶしているけど、当たれば骨くらいは折れるかもしれない。

 横で見ているペリーヌと私はどちらを応援すべきなのかな?ペリーヌは当然お兄様を応援するので、バランスをとるために私はアレンを応援しよう。

 二人ともお兄様を応援するとアレンがかわいそうだもんね。


 5メートル離れて両者が剣を構えた状態で私が試合開始の合図を出した。

 アレンがダッシュで間合いをつめる。そのまま2メートル地点にかかったら、即座にお兄様はタイムストップを発動するだろう。

 当然それを読んだアレンは2メートルのギリギリ手前で急ブレーキ。

 両者ともにタイムストップを発動できるので駆け引きというか読みあいがすごい。

 先に仕掛けたほうが負け的な感じもするな。素人考えだけど。


 挑戦者であるアレンのほうが先に動くかと思いきや、お兄様のほうが先に仕掛けた。

 2メートルの間合いに踏み込んだ。そのとき剣は正眼(せいがん)を維持している。

 アレンがタイムストップを発動したのだろうか、お兄様の動きが一瞬止まった。

 その(すき)を見逃さずアレンが剣を上段から振り下ろすが、硬直が解けたお兄様が間一髪で受け止めて、今度はお兄様のほうがタイムストップを発動。

 アレンの首筋に剣を当てた状態で停止時間が終わり、アレンが降参を宣言した。


 勝負は一瞬の攻防って感じでとても面白かった。

 魔法発動のタイミングは私の勝手な推測だけど、多分あってると思う。

「アレン様、惜しかったですね。あと少しでした」

「マリアさん、ありがとう。シュミット様にはまだまだかなわないようです。精進(しょうじん)が足りませんね」

「いや、僕が先に仕掛けたとき、上段からの振り下ろしではなく、突き技を選択してたら僕の負けだったと思うよ」

「いえ、正眼の構えにまどわされました。つい振り下ろしを選択してしまったのは僕の未熟さです」

 私から見ればどっちもすごかったよ。

 ペリーヌは目をキラキラさせてお兄様を見つめているけど、何か言ってよ。怖いよ。


 でもあれだね。どちらもタイムストップが使えて影響範囲もお互いに熟知している場合、膠着(こうちゃく)状態になりがちだね。

 発動時のパラメータとして、影響範囲となる円の半径だけは指定できるようにすれば面白くなるかな?

 でもその場合、一瞬で高速発動ってできなくなるんだよね。一長一短だよ。


「夏休みが終わって新学期が始まるとすぐに学院の武術大会が開催されると聞きました。シュミット様は剣術部門で参加されないんですか?」

 アレンがお兄様に聞いたけど、多分お兄様は出場しないだろうな。


「いや出ないつもりだよ。タイムストップを使えば優勝するだろうけど、使えない人に対して使うのはやはり卑怯だからね」

 だろうな。予想通りだ。てか、それこそがお兄様だ。ペリーヌも誇らしげだ。


「確かにそうですね。戦争で敵兵相手や盗賊相手に使うのは問題ないですが、試合で使うのはまずいですよね」

 アレンの言う通りだね。戦闘時もそうだけど、盗賊に人質を取られてるときなんかにもタイムストップは有用だよ、多分。


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