065 タイムストップの練習①
『魔法は誰でも使えるよ』…管理者の言葉だ。よく覚えてないけど。
今まで魔法が使えないと思い込んでいたペリーヌだったが、お兄様の指導のおかげなのかお兄様への愛なのか分からないけど、魔法の発動に成功した。最初は詠唱魔法だけどね。
お兄様が付きっきりで指導しているせいでペリーヌの魔法技術はめきめきと上達し、もはやブレンダを超えたかもしれない。
いや、私とルーシーちゃんでブレンダにも詠唱魔法を教えてるんだけどね。
ペリーヌはストーンライフルの魔法陣の発動にも成功したので、これでルーシーちゃんとブレンダとペリーヌの3人は同じくらいの実力になったかな。
これでファイアボールなんかを覚えてもらえば、6人で1個分隊を構成し、敵軍1個大隊600人と対決できるかもしれない。いや、さすがに無理かな?
1個中隊150人くらいが対応可能な限界人数かな?いずれにせよ、たった6人だけどすごい火力であることは間違いないね。
魔法陣の秘密を開示した日から二か月。
学院は夏休みに入ったので、これから一か月は長期休暇となる。
再び魔法陣仲間全員を我が家に招集した私は、いよいよタイムストップを開示することにした。
魔法陣の紙をお兄様以外の全員に配り、説明を始める。
「この魔法陣は武術における切り札となる魔法を発動できます。皆さんにはぜひ習得していただきたいと思っています」
「マリアさん、これって今までの魔法陣に比べるとすごく模様が簡単で覚えやすそうなんだけど、そんなすごい効果があるの?」
「はい、アレン様。それに皆さん。この魔法は自分を中心とした半径1メートルの円の中の時間を1秒間だけ止めます。もちろん自分自身には影響ありませんので、1秒間はやりたい放題ってことですね。魔法名はタイムストップです」
全員、目を見開いて絶句している。特に武術組のペリーヌはこの魔法の効果を想像して青くなっているみたい。たとえ1秒といえど無敵状態の時間というのが格闘戦においてどういう効果を持つのかをしっかり理解しているんだろうね。
「ちなみに、お兄様にはこれとは別の魔法陣を渡していて、すでに習得していて使いこなしていますね」
「うん、僕のは半径2メートル、停止時間0.5秒の魔法陣にしてもらったんだ。剣を使うし、試合を見ている周りの人にばれないようにね」
お兄様の言葉を聞いたアレンとペリーヌもお兄様と同意見のようだ。武術が得意な人は停止時間が長いのは嫌なのかな?
「マリアさん、できれば僕のはシュミット様のものと同じ魔法陣にしてもらえないかな?」
「マリア、私もシュミット様とおそろい、いや同じものが良いかな」
ペリーヌさんや。おそろいのペアルックならぬペア魔法陣が良いのだね?ごちそうさま。あと僕っ娘はやめたのかい?
結局、アレンとペリーヌはお兄様と同じ半径2メートル、停止時間0.5秒に。
ルーシーちゃんとブレンダ、そして私は半径1メートル、停止時間1秒になった。
最初は目の前に時計の魔道具を置いて秒針の動きで魔法発動を確認。
成功したら走りながら発動を練習。そのあと組み手をしながら発動の練習だ。
実際の試合の中で自由に発動できるのは現状ではお兄様しかいない。てか、私の成功率はとても低い。なぜだ?
アレンとペリーヌがめちゃ燃えてるんだけど、この分ならすぐに習得できそうだな。楽しみだ。




