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064 秘密の開示

 ペリーヌを我が家に呼んでお兄様に紹介したり、ペリーヌの家にお呼ばれしたりと交流を続けてもう二か月。

 入学してからは三か月になる。

 お兄様に会ったペリーヌの様子はあれだな。多分一目ぼれってやつだ。ペリーヌは女子にしては背が高いんだけど、お兄様と並ぶとペリーヌのほうが少し低いくらいでちょうど良い感じ。

 イケメンと美女が並ぶと破壊力がすごいな。将来の義姉上(あねうえ)になるかもしれないね。もちろん応援しますよ。私、ブラコンじゃないし。

 お兄様もまんざらではないみたい。今まで婚約者を決めなかったお兄様にもやっと春が来たのか。ちなみに私にも婚約者はいない。なぜだ?


 タイムストップの魔法陣を開発してから二か月以上たつんだけど、お兄様は完璧に使いこなしているみたい。毎年秋に開催される学院の武術大会に出たら、上級生を抑えて優勝するんじゃないかな?

 ただし、私はというとなかなか使いこなせていない。開発者なのに…。

 動きながらの魔法発動がそもそも難しすぎるんだよ。私が普通で、お兄様が異常なんです。神童か。


 武術の授業は組み手に入っているけど、(かた)通りに動く演武(えんぶ)みたいな感じでそこまで危険ではない。

 相手が型の順番を忘れて約束事と違う攻撃がやってきたときだけは、さばけずにヒヤッとすることもあるけどね。


 今悩んでいるのはどのタイミングで魔法陣技術を友人たちに明かすかだな。

 アレンだけは魔法陣による魔法発動を知ってるけど、ルーシーちゃんとブレンダには教えてないからね。ペリーヌはそもそも魔力移動ができないみたいなので、そこから教えないといけないけど。

 ペリーヌへの教授はお兄様に頼むから良いとして、ルーシーちゃんとブレンダに明かす理由はタイムストップなんだよね。

 武術の授業で危険なことにならないように、タイムストップは早めに練習させておきたい。教えてもすぐに使いこなせないのは私で実証済みなので。って、うるさいわい。


 とある休日、全員の都合が良い日に我が家に集まってもらった。

 アレン、ルーシーちゃん、ブレンダ、ペリーヌ、お兄様、私の6人だ。


「今日は重要な話をします。これは王宮にも伝えていない秘匿技術だと思ってください」

 お兄様には事前に伝えていたから特に驚いてはいないけど、アレンは驚いている。おそらく魔法陣の話だと分かったのだろう。

 ルーシーちゃん、ブレンダ、ペリーヌの3人はきょとんとした顔で私を見ている。


 お兄様とアレンには魔法陣の発動を経験してもらってから説明したけど、今回は人数が多いので説明から先にしよう。

 魔法陣の発動方法やその特徴、10歳のときに実戦で使ったことなどを2時間くらいかけて説明した。

 途中でお兄様やアレンが補足説明を入れてくれたのは助かった。


 ブレンダはそもそも詠唱技術を知らなかったくらいなのでそこまで感動は無い。ペリーヌも魔法を使えないのであまりピンときてないようだ。

 ルーシーちゃんだけがめちゃ感動している。

「魔法陣、素晴らしい技術ですわ。私、感動しました。やはりマリアちゃんは天才だったんですね?いえ、もはや天使と言っても過言ではないかと」

 いやいや、なんで天使なんだよ。発想の飛躍がはなはだしいよ。


 さて、最初に教えるのは何の魔法陣にするかな?

 鑑定魔法やアイテムボックスは古代語のメッセージが読めないので、将来的にも教えることはない。

 アレンのときと同じく、マジックサーチが安全なのでそれにしようかな?

 それともストーンライフルなんかの攻撃魔法のほうがモチベーションが上がるかな?

 いきなりタイムストップはない。あれは効果が分かりにくいんだよね。


 よし、決めた。ストーンライフルにしよう。

 我が家の魔法練習場に移動する。

 あ、お兄様とペリーヌの2人はお兄様の部屋で魔力移動の練習をしてもらおう。真っ赤な顔でお兄様の後ろをついていくペリーヌ。ふふ、健全な交際をお願いしますよ。って、部屋の中にはメイドさんもいるから大丈夫か。


 魔法練習場ではアレンに頼んでストーンライフルを発動してもらった。

 それを見たブレンダが複写発動しようとしたけど無理だった。そもそも発射した弾丸が見えてないからね。イメージを固めるなんて無理だ。

 ルーシーちゃんは大興奮状態でアレンに詰め寄っている。

「アレンさん、今の魔法は何ですの?いきなり(まと)が壊れて(わけ)が分かりませんわ」

 ちょっと落ち着こう、ルーシーちゃん。今説明するから。


 ストーンライフルの魔法を説明したのだが、今度は自分が知らなかったことにすねだした。

「なぜアレンさんが知っているのに、私には教えてくださらなかったんですの?不公平です」

 本気で怒っているわけではないようだが、不満そうにしている。


「こんな技法、知っているだけで悪者に狙われる可能性があるんだよ。誘拐されたりとか。だから高等学院に入るまでは教えないって決めてたんだ。ごめんね」

「そうですの。マリアちゃんは優しい方ですものね。怒ってごめんなさい」

 ふふ、良いんだよ、ルーシーちゃん。ほんと良い子だな。


 そのあとルーシーちゃんとブレンダには魔法陣を記憶してもらう。紙が1枚しかなくてごめんね。アレンが持ってるやつを持ってきてもらえば良かった。

 先にマスターしたのはルーシーちゃんだった。

 新しく設置した的をストーンライフルで粉砕したルーシーちゃんはしばらく呆然として壊れた的を見つめていたよ。うん、分かる。


 ブレンダには魔法陣の暗記が難しいみたいなので、魔法陣の紙を片手にちらちらカンニングしながらだけどなんとか発動できた。

 ブレンダの複写発動はそもそも無詠唱なのであまり感動はないみたいだけど、威力には驚いているみたい。

 とにかく、これで魔法陣仲間が増えたよ。あとはペリーヌが魔力を使えるようになれば良いな。


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