063 新しい友達
ある日の教室内、始業時間前のこと。
ルーシーちゃんやブレンダとおしゃべりしていた私は別の女の子から声をかけられた。
「マリア様、ペリーヌと申します。下位の家格の者から話しかけるご無礼をお許しください」
ライアン準男爵家のペリーヌさんだ。よく顔を合わせるんだけどこうやって話すのは初めてだな。この子は武術組の紅一点なので、武術の選択授業ではいつも一緒なのだ。
あと、家格の違いを気にしなきゃいけないのはパーティのときだけだよ。みんなに恐れられているシュトレーゼン家の娘に話しかけてくれて嬉しいよ。てか、友達以外のクラスメイトから初めて話しかけられたよ。
「ペリーヌ様、気にしないでください。声をかけていただいて嬉しいです」
「ありがとうございます。最初はちょっと怖い人かと思ってて、話しかけづらかったんです」
正直だな、おい。まぁ嫌いではない。
「武術の授業のとき、とても頑張っていらっしゃる姿を見て、ぜひ私とお友達になっていただければと思って…」
一大決心をして話しかけてきたのだろう。身体はカチカチに固まってて、前で組んでいる手が少し震えている。ちなみに容姿は武術組らしくスタイルが良くて背が高く、モデルさんみたい。可愛いと言うよりは美人なタイプだな。
「もちろん良いですよ。ルーシーちゃんやブレンダも一緒に友達になりましょう」
「ルーシーメイです。私ともお友達になっていただけますかしら」
「ぶ、ブレンダです。平民ですけど私も良いのでしょうか?」
「皆さんありがとうございます。ぜひよろしくお願いします」
この子は家格の低さと女子の中で唯一の武術組であることから、少し浮いた感じになっていていつも一人だったのよね。少し気になってたんだけど友達になれて良かった。
なお、私から話しかけなかったのは、私がシュトレーゼン家だったからですよ。怖くないっつーの。
女子4人グループになったけど、ここにアレンが入るとますますアレンのハーレムパーティー色が濃くなるな。
「じゃあ、この4人の中での敬語は無しでいこう。良いよね?」
「私はいつも丁寧な言葉遣いですが、これは癖なのでお気になさらず」
ルーシーちゃんはいつもこんな感じだ。
「うん、私も敬語苦手だから良いよ」
ブレンダが敬語を使うとつい笑っちゃうんだよ。ごめんね。
「えと、分かったよ。僕はいつも男の子っぽい話し方なんだけど、大丈夫かな?」
おぉ、ペリーヌさんは僕っ娘ですか。
アレンも一人称が僕なのでかぶっちゃうな。
「呼び方はペリーヌさんで良い?」
「いえ、できれば呼び捨てでお願いします。マリア様、ルーシーメイ様、ブレンダ様」
「私のことはルーシーと呼んでいただけますかしら。呼び捨てで構いませんので」
「私もブレンダって呼び捨てにして。様とか付けられると緊張しちゃう」
だよねー。友達の間で様付けは無いわぁ。私はアレンを様付けで呼んでるけどね。女子の間では無いってことだよ。
「んじゃ私もペリーヌって呼び捨てにするから、ペリーヌも私のことをマリアって呼んでほしいな」
私も様付けは勘弁してほしいよ。もっとフレンドリーに。
「マリア、ルーシー、ブレンダ。こ、これで良いかな?」
微笑んでるけど照れくさそうな感じで話すペリーヌ。可愛いよ。
しかし前世ではあまり友達のいなかった私だけど、この世界ではもう4人目の友達ができたよ。快挙だよ。




