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061 タイムストップ②

「お兄様、お部屋に入ってもよろしいですか?」

 お兄様の部屋の扉をノックしてお(うかが)いを立てる。

「マリアかい?どうぞ」

「今、大丈夫ですか?お勉強されていたのではありませんか?」

 机の上に勉強道具が出ているが、お兄様はさっさとそれを片付け始めた。


「マリアの話は最優先だからね」

 などとおっしゃるイケメンのお兄様なのだ。大好き。


「新しい魔法陣を開発したんです。それでお兄様に協力していただけたらと」

「ああ、もちろん良いとも。新しい魔法陣は久しぶりだね。マジックサーチ以来かな」

 だね。魔法陣を描くのはまじで大変なんだよ。面倒くさいんだよ。描きたくないんだよ。


 魔法陣の紙を手渡してから説明を始める。

「これは時間を停止させる魔法です」

 今までに判明している特徴や制約などを話していく。

 そして影響範囲と停止時間の調整を手伝ってもらいたいと伝えた。


「うーむ、またすごい魔法を開発したね。格闘戦だろうが剣術の試合だろうが、接近戦での時間停止はほんの1秒であっても致命的だよ」

「影響範囲が広くなると半径の三乗に比例して魔力量が増大します。なので、あまりに範囲を広くすると魔法発動を維持できなくなる可能性が高くなります」

「うん、槍が相手だと間合いがかなり広くなるから、この魔法では対処が難しいかもしれないね。でも武器無しの格闘なら1メートルで十分だろうし、剣の場合でも2メートルあれば大丈夫だろう」

「停止時間はどうしましょう?」

「2秒は長すぎるだろうね。というのも影響範囲の外から見ている人にとっては、一方の人だけ2秒も動きが止まっているように見えるよね。かなりの違和感があるよ」

「なるほど。相手の時間を止めていることを(まわ)りに悟らせないようにすることも重要なんですね」

「本当にマリアは賢いね。その通りだよ。1秒でも長いかもしれない。武術の達人は1秒の無敵状態で3回は相手を殺せるだろう」

 お兄様と検討を重ねた結果、私は半径1メートルで1秒停止(魔力量100)、お兄様は半径2メートルで0.5秒停止(魔力量400)にした。つまり2種類の魔法陣を用意する。


 最後に大きな問題が一つ残っている。

 それは、戦闘で身体を動かしながら、集中が必要な魔力移動ができるようにすることだ。しかも即座に発動できるようにしなければ意味がない。

 こればかりは練習あるのみだろう。

 魔法陣自体は簡潔なので、暗記はしやすいけどね。


 お兄様と私は裏庭で体術の訓練をしつつ、身体を動かしながらタイムストップの発動練習を行うことになった。

 私だけでなく、お兄様も同じように発動の練習をするので、お互いにタイムストップをかけあう形だ。

 ただし、停止時間については、私がお兄様を1秒停止させ、お兄様が私を0.5秒停止させるので、ちょうど良い感じのハンディキャップになっている。

 まだなかなか思うようには発動できないけどね。練習あるのみです。


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