056 合格発表
アレンの父ちゃん、リヴァスト侯爵に依頼して無詠唱魔法の技術(正確には複写発動の技術)を王宮に伝えてもらった結果、予想通り箝口令が敷かれた。
秘匿するからお前らしゃべんじゃねえぞってことだ。
他国、特に帝国には絶対知られてはならないって言ってたらしい。私もそう思う。
帝国皇帝、ろくなやつじゃねぇ。会ったことないけど。
ブレンダの宿屋へお忍びで遊びに行ったときに聞いたんだけど、おそろしい額の金が目の前に積まれて口止めされたそうだ。
ブレンダの父ちゃんなんか気絶したらしい。母ちゃんは平然としていたそうだけど。
金額は聞かなかったけど、私の予想では1億ってことはないな。少なくとも10億エント、いやそれ以上の可能性もある。ブレンダの母ちゃん、すごいな。
もうすぐ高等学院の合格発表日なんだけど、試験結果にかかわらずブレンダの特待生としての合格が決まったらしい。おめでとう。学費も免除なんだって。
学院のクラスは4つあるけど、実力別の割り振りでAクラスからDクラスまである。アレンやルーシーちゃんがAクラスなのは間違いないだろうからブレンダだけ別クラスになるんじゃないかと心配してたけど、特待生ならAクラスになるに違いない。あ、もちろん私もAクラスのつもりです。あれ?大丈夫だよね?
入試から二週間後、高等学院へ行って合格発表の掲示板を確認した。特待生合格は分かっているけどブレンダも一緒に確認しているので、ここには4人揃っている。アレン、ルーシーちゃん、ブレンダ、私の4人だ。
同時にクラス分けも掲示されていて、入試の成績は所属クラスから判断できるようになっている。得点自体は掲載されていないけどね。
クラス分けについて少しだけ心配してたけど、仲良し4人組は全員Aクラスだったよ。
全員で手を取り合って喜んでいると、お兄様がやってきた。今日は授業があるけど、今はちょうど昼休みの時間なのだ。
「その様子だとみんな合格したようだね。おめでとう。学院へようこそ」
「「「「ありがとうございます」」」」
全員でハモった。息ぴったりです。
一か月後に新1年生として入学することになる。それまでに制服を仕立てたり、必要な文房具とかを購入したりと準備しなければならない。
うん、一か月なんてあっという間だな。




