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053 仲良しグループ

 今日は友人たち3人が私の家に集合する日だ。

 お屋敷の場所を知らないブレンダについては、実家の宿屋の前まで馬車で迎えに行った。私も同乗して。

 ルーシーちゃんの乗ったシャミュア家の馬車に続いて、アレンの乗ったリヴァスト家の馬車も到着した。これで全員そろったな。

「皆様、本日はようこそおいで下さいました。よし、さぁこっちこっち」

 玄関の前で出迎えた私はアレンとルーシーちゃんに挨拶してから、応接室へと引っ張っていく。


 応接室にはすでにブレンダがいて、借りてきた猫のように小さくなっている。まぁ分かるけどね。

「す、すごいお屋敷だよね。マリアのうちってお金持ちなの?」

「多分そこそこかな?」

「いやいや僕のうちと比べても遜色(そんしょく)ないほど裕福だと思うよ」

「ええ、私の家よりもはるかにお金持ちですわ。普通、子爵家や男爵家は貧乏なところも多いんですのよ」

 銀鉱山を持っていることが大きいよね。

 しかもその権益を高位貴族から難癖(なんくせ)をつけて取り上げられないのは、陛下とお父様が友人だかららしい。


「そんなことよりまずはお茶しよう」

 メイドに命じて全員分のお茶とお菓子を用意させた。

 談笑しているうちに緊張がほぐれたのか、ブレンダにもいつもの調子が戻ってきたようだ。

「こうやってみんなと友達になれて嬉しいんだけど、私って学院に合格できるのかな?」

 貴族はほとんど合格するけど、平民には狭き門だもんね。


「うーん、実技は申し分ないと思うよ。問題は午前中の筆記試験だよね。私の見る限り、少し意地の悪い問題もあったし」

「そうだね。僕の感想も同じだよ。なんだか平民を振るい落とそうという意図が見えたな」

 貴族なら家庭教師に習っているはずの内容であっても、中等学院においては学習範囲ではないって内容が含まれてたんだよね。数学の問題とかがそうだったな。


「いやな感じですわよね。入学できたとしても平民の方には厳しい環境になるかもしれませんわね」

「ブレンダは何も心配しなくて良いよ。私たちと一緒ならアホ貴族からいじめられるなんて絶対無いから」

「ありがとう、マリア。アレンとルーシーにも迷惑かけるかもしれないけど」

「迷惑なものか。僕たちは友達だからね」

「そうですわ。友達を傷つけるようなやつは許しませんわよ」

 『やつ』って、その表現はどうなの?ルーシーちゃんの(がら)が悪くなっていってる気がして冷や汗が出るよ。


 ここにいる全員が合格して、できれば4人とも同じクラスになれると良いなぁ。高等学院には1学年に4クラスあるらしいので、同じクラスになれるかどうかは微妙なんだよね。

「マリア、入っても良いかい?」

 応接室の扉がノックされ、お兄様の声が聞こえた。

 招き入れると微笑みを浮かべたお兄様が入ってきたんだけど、そのせいでブレンダはまたもや緊張がぶり返してきたようだ。


「皆さん、こんにちは」

「シュミット様、お邪魔してます」

「シュミット様、ごきげんよう。…(とうと)い」

 アレンとルーシーちゃんとは面識があるので二人とも無難に挨拶しているが、ルーシーちゃんからは少しだけ()の方々のにおいがする。いや、まさかな。


「君がブレンダさんだね。マリアから聞いてるよ。妹の友達になってくれてありがとう」

「えっ、は、はい。ぶ、ブレンダと申しまう。あっ、噛んだ」

 真っ赤になって噛みまくっているブレンダは可愛いな。


「ブレンダ、落ち着いて。この人は私のお兄様だよ」

「シュミット・フォン・シュトレーゼンです。あらためてよろしくね」

「はい。よろしくお願いします」

 イケメンパワー全開なお兄様に対して、まともに会話できる女子は少ない。ブレンダ、その反応は一般的だよ。大丈夫。


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