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005 家庭教師ナタリアの回想①

 今日からマリア様のお勉強を始めます。

 とても可愛らしくて良い子なので教え甲斐がありますね。


 まずは文字の読み書きです。

 この国で使われる基本的な文字は30種類ほどあり、計算で使う数字やその他の記号等を含めても50種類くらいです。

 たくさんあって覚えるのが大変ですが、一つずつゆっくり覚えていきましょう。


「先生、この国で使われる文字は一応全部覚えました。お母様に絵本を読んでいただきましたので…」

 あらら、優秀な生徒で嬉しいですね。

 でも本当かしら。


「そうですか。では簡単なテストをしてマリア様の現在のレベルを確認したほうがよろしいですね」

 そう言って読み方の問題、書き問題、単語の問題、文章の読解や記述問題を次々と出題していきました。

 いや、本当は単なる文字の読み書きだけを確認するつもりが、次々解いていってしまうので、調子に乗って高等学院レベルの問題まで出しちゃいました。

 でも、解いちゃいましたけどね(遠い目)。


「なんだか、読み書きについては教えることがありませんね。信じられないことですが」

 もうね、そう言わざるを得ないというか、なんというか。

 えっと5歳なんだよね?


 いやいや、読み書きを教えなくて済むので、その時間を別の勉強に回せると思えば悪いことではないでしょう。

 次は計算のお勉強です。

 足し算から説明していきますが、さすがに神妙な顔で聞いていますね。良かった。

 一桁の足し算だけ教えるはずが、あまりにも理解が早いので二桁の足し算まで進みました。桁上がりの概念も理解されているようで素晴らしいです。


 計算についてのお勉強が終わったタイミングで、マリア様から兄君であるシュミット様の勉強の進捗状況を聞かれました。

「引き算と掛け算というものを学んでいますよ。掛け算はとても難しいけどシュミット様はがんばって勉強しています。マリア様もゆっくり頑張りましょうね」

 そう言うとなんだか微妙なお顔をしてらしたので、やはり子供にとって計算は難しいもののようです。


 さて今日最後の授業は、魔法についてです。

 マリア様も目をキラキラさせて興味津々のようですね。可愛い。


「まず魔法というものは何か?それは魔法に適性を持った人が呪文を詠唱して発動する奇跡です」

 頭に疑問符を浮かべたようなお顔でマリア様が首をかしげています。

 やはり、実際に見せたほうが早いでしょう。


「私も簡単な魔法なら使えますので、ちょっとお見せしましょう」

 そう言ってから詠唱を開始し、火の魔法を発動してみせました。マリア様はとてもお喜びになったので、思わず心の中で「よしっ」と叫びました。

 喜んでいる姿、天使ですか。鼻血が出そうです。


 マリア様もやってみたいとおっしゃるので、まずは魔力を感じ取る訓練からです。

「魔力って何ですか?」

「人間の身体の中にある特別なエネルギーですね。これを燃料として魔法を発動します」

 人間の身体の中にあって意識しないと感じ取れない、いや意識しても感じ取れない人のほうが多いのが魔力というものなのです。

 もしもマリア様がうまくできなくても当然のことなのです。


「先生、なにか感じ取れました」

 はっ?そんなはずは…。いくらなんでも早過ぎる。

 何か別のものを勘違いしているのでしょう。

 それでも生徒のことを信用しないのは教師失格なので、感じ取れたと仮定して魔力の回転と移動をやってもらいます。


「先生、できました」

 もう、驚きません。多分、勘違いしてます。きっと、そうだ。そうに違いない。


 ついでに詠唱まで進めてみましたが、信じられないことに魔法が(一瞬とはいえ)発動しました。

 魔法を使えない人が多いというのに、この子は天才なんでしょうか。

 ほんの少しの時間しか学んでいないのに、あっという間に魔法発動まで進むとは…。


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