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043 探査魔法の魔法陣開発②

 要件定義から基本設計、詳細設計まで進むのに約二週間。

 コーディングに一か月を費やしてアルファ版ができあがった。


 開発途中にちょこちょこ起動して検証しながら作り上げていくのは以前の飛行魔法のときと同じだ。

 しかし、本格的な起動実験は今日が初めてとなる。


 スタートアップルーチンに魔力を流して起動する。自分の真正面に向かって10度の角度で探査を実行した後、時計回りに10度ずつ探査していく。

 36回繰り返したので、全周を探査したことになる。

 一回の探査に必要な時間が36分の1秒になるようにチューニングしたので、全周探査に必要な時間は1秒間だ。

 魔力量については起動時に1、一回の探査に10でそれが36回だから1秒間に360の魔力量になる(ちゃんと魔道具で測定した)。

 当然この維持魔力は自然界からの吸収でまかなうため、実質1の魔力量で全周の探査ができ、しかも人のいる方角が分かるというわけだ。


 探査可能な距離については実験しなければいけないけど、多分50メートルよりは長くなってるはず。

 PPIスコープも良い感じに脳内表示されていて以前よりも格段に使いやすくなった。

 もともとは初期のレーダーのAスコープみたいな波形によるイメージが頭に浮かぶだけだったんだけど、この波形の違いだけでよく敵の待ち伏せを察知できたものだ。我ながらすごいな。


 魔力反応の大きさ(魔力量、言い換えれば体重と相手までの距離によって決まる)によってPPIスコープに表示する赤い点の大きさを変えている。

 お屋敷の私の部屋の中でテストしているんだけど、横にいるお兄様も部屋のすぐ外に控えるメイドさんも執務室にいるお父様もPPIスコープ上では全員等距離で表示されている。

 うむ、方角は分かるが距離が分からん。てか、距離が赤丸の大きさでは判断しづらい。


 とりあえずお兄様にも試してもらおう。

「方角が分かるようになったのと魔力をほとんど消費しないのはすばらしいね。距離が分かりにくいけど」

 うむ、同意見ですよ、お兄様。


 例えば、体重50キログラム(魔力量50)を基準として、反応の強さでPPIスコープの中心から描画する距離を変えれば分かりやすいかな?赤丸の大きさは全て同じにして。

 私のような子供は本当は近いのに遠くにいるように表示されるし、体重100キログラムくらいある大きな人は遠くにいるのに近くにいるかのごとく表示されちゃうけどね。

「それは良いね。魔法陣の改修が大変じゃないなら試してみてほしいな」

 お兄様は気をつかってくれるが、えぇ大変なんです。でもやりましょう。


 三日後、改修された魔法陣を再テスト。

 すでにテストした探査可能範囲の最大値は70メートルだったので、PPIスコープの円の端っこは70メートル先だ。

 体重の違いによる距離判定の誤差があるはずだけど、PPIスコープ上ではほとんど違いは分からない。半径70メートルを脳内で半径30センチメートル程度に縮小表示しているため、細かい誤差は吸収されてしまうみたいだ。

「まだまだテストは必要だし、細かい改修もあるだろうけど、このままでも十分実用的だね」

 お兄様の高評価が嬉しい。

 てか、一人で開発してたらもっともっと時間がかかってたな。お兄様ありがとう。


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