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042 探査魔法の魔法陣開発①

 マジックサーチはなかなか便利な魔法だと思う。

 燃費が悪いこと、敵味方の識別ができないこと、相手までの距離や方角が分からないことなど欠点はたくさんあるけど、人の存在を検知できるのは戦闘においてかなりのアドバンテージだ。

 どうでも良いけど、魔法名は超適当に付けた。前にも言ったけど魔法発動において魔法名は意味をなさないので。

 さらに魔法属性については、鑑定魔法や空間魔法と同じように5属性(火・水・風・土・光)には当てはまらない。管理者も言っていた。属性に意味はなく、単なる分類だと。かなり昔のことだからうろ覚えだけどね。


 王都のお屋敷に帰り着いた私は、その翌日からマジックサーチの魔法陣開発に取り組むことにした。

「お兄様、マジックサーチの魔法について何かご要望はございますか?」

 魔法の話はお兄様としかできないので、機能についての要望を聞いてみる。お兄様も王都への帰路にさんざん発動したので、この魔法の欠点は熟知しているのだ。

 ちなみに最初お兄様は私が魔法陣を描けるということを知って驚いたけど、「マリアなら不思議でもないか」と言って思考を放棄した。なんか失礼な気がする。


「うん、やはり相手のいる方角を知ることができれば良いかな」

 現状、発動者を中心とした全周警戒しかできない。魔法の指向性を実現できるかな?

 それができれば、異なる方角へ順番に発動することで敵のいる方角が判明する。

 例えば、45度の角度で扇状に索敵することを8回繰り返せば360度を警戒でき、どの方角に人がいるのかも分かる。


 なお、現状の全周警戒では味方の騎士さんたちなんかにも反応するのだが、敵のいない状態と敵のいる状態で差分(さぶん)をとることで判断している。要するにマジックサーチを発動すると常に何らかの反応はある(周りに誰もいないということはほとんどない)のだが、通常とは異なる反応を探して敵の有無を検出するしかないのだ。反応自体は前世のオシロスコープで見るような波形のイメージなので、なんとか違いが分かるようになっている。

 したがって、街道を旅行中などであれば使える(敵が大規模な部隊でないと検出できないけど)が、お屋敷では全く使えない。出入りの業者とかも来るし、敵味方の識別ができないので警戒のしようもない。


「方角については魔法の指向性を実現できるかが鍵ですね」

「そうだね、マリア。指向性の可否を実験してみるしかないだろうね。ただ実験を詠唱魔法で行う場合、魔力量の関係で何度も試せないのが問題だね」

 そうなんだよな。燃費が悪いんだよ。


「僕も実験には協力するから心配しないで良いよ。僕のほうが試せる回数も多いしね」

 微笑むお兄様、素敵です。こき使ってやろう。


「あとは敵なのか味方なのかの判断ができると良いんだけど」

「悪意のある人を探すなどということができるでしょうか?」

「精神状態の検出や精神自体に影響を及ぼすような魔法は存在しないから無理かもしれないね」

 そうなのだ。この世界、敵を恐慌状態や錯乱状態にするような魔法は無いし、ついでに言えば身体に直接影響を及ぼすような魔法もない。よくある身体強化とか味方の素早さを向上させるバフの魔法とか無いのだ。そうそう、身体に直接影響を与えると言えばヒールなんかの治癒魔法も無い。まじかよ。

 あくまでも魔力を火や水などの半物理現象に変換し、発動後は魔力に戻るだけなんだよね。完全な物理でなく半物理なのは私の推測だけど、防御結界である程度防げるのでおそらくそういうことだろう。

 魔力に戻るってのも私の推測なんだけど、もしも消滅するんだったらこの世界から徐々に魔力が失われることになっちゃう。まぁ、魔力はどこからか生み出されていて、魔法で使った魔力はこの世から消えるってのもありかもしれないけど。


 一日に何度も実験できないので、まずは計画書を作成し、それに沿って計画的に検証していく。

 様々な実験を一週間を費やして行った結果、次のことが分かった。


・サーチの指向性は角度指定で可能(ラジアンでなくディグリーだったのはありがたい…つまり5度とか10度とかで指定できる)

・魔力量10で検出範囲は半径50メートルだったが、指向性を持たせることで(角度にもよるが)検出距離を延伸可

・悪意のある存在のみを検出することは不可

・距離の検出は不可(ただし、魔力反応の強弱は検出可)

・脳内メッセージを画像化し、レーダーのPPIスコープのように表示することは実験自体が不可能


 最後の点は詠唱魔法では検証できないので、魔法陣作成時に試行錯誤するしかない。

 どうやら設計に必要な基礎データはそろってきたようだ。

 ここからが大変なんだけどね。ふぅ。


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