041 王都への帰還
結局、全員黙秘のまま尋問は二日で終わり、残りの尋問は王都の拷問官、いや専門家にゆだねることになった。
そのため捕虜は全員、護送用馬車に詰め込まれた。
出発時の車内は人員2人で割と快適だったと思うけど、8人増えて人口密度が高くなったため、車内の居住環境はめちゃ悪化している。
もともと死にそうだった3名は王都までもたないかもしれない。てか、ほかのやつらは「狭いんだから、はよ死ねや」とか思ってるみたい。仲間だろ、おまえら。
この世界、盗賊に人権など無いので、車内では糞尿垂れ流しだ。悪臭がひどいので、うちの馬車からは少し離れてもらっている。
あ、もちろん戦争での捕虜には人権があるし、待遇もある程度は保障されるよ。でも帝国とは戦争状態じゃないし、こいつらは戦時捕虜じゃなくて盗賊の扱いだ。
さっさと帝国軍人であることを認めないお前らの自業自得だな。あ、一人だけ認めたやつもいたな、忘れてた。
マジックサーチをお兄様と私で交互に発動しながら進んでいるんだけど、現状での襲撃の気配はない。
油断はできないけど、もしかしたらもう襲撃は無いかもね。だったら良いんだけど。
ようやく王都の門が見えてきた。
ここまで来ればもう安全だ。警戒にとても神経を使っていたのでヘトヘトだよ。
お父様はこの後の事務手続きのことを考えているみたいで、難しい顔をしているけどね。
10歳児である私はすぐにお屋敷に行って寝室でゆっくり休みたいです。
お兄様も疲れた顔をしているけど大丈夫かな?PTSDとかになってないよね?




