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034 後始末

 麦畑にころがっている盗賊(帝国軍の工作員?)たちの死体が集められた。

 総数17体だ。つまり麦畑方面からはちょうど20人が来たわけね。


 捕虜の魔法使いから聞いたのだが、20人の中にはなんともう一人魔法使いがいたらしい。ガルム帝国では魔導師と呼んでいるそうだが。

 さらに馬車の前後を挟んだ10人の部隊の中にも魔法使いがいたってことを聞いて、ちょっと背筋が寒くなったよ。盗賊に偽装するため魔法の使用はできるだけ控えていたらしい。

 魔法使い的には2対3だったんだね。こちらはお兄様と私だけだし。

 てか、この捕虜のおっさん、ペラペラしゃべってくれている。案外元気そうだな、こいつ。


 装備としてガルム帝国の影を感じさせるようなものは見つからなかったが、防御結界装置は4個見つかった。

 おしゃべりな捕虜の魔法使いも持っていた。というか自主的に差し出してきた。えらく協力的でかえってうさんくさい。

 もう一人の捕虜、アキレス腱断裂男はすごく静かだ。頭から布をかぶったままで顔も見えないので、もはや生きてるのかすら分からない。


「私たちは予定通り領都の屋敷に向かう。ここから騎士二人を王都へ報告に向かわせてくれないか」

 お父様の発言に騎士リーダーは渋面を浮かべた。

「護衛が手薄になります。男爵様の安全に責任が持てません」

「一人では帝国軍に襲撃されて報告が届かない事態が起こりうる。なので、必ず二人以上で向かうこと。これについては譲れないな」

「それではまず護衛任務を完了させてから、そのあと王都へ帰還します」


 渋る騎士リーダーにお父様が言った。

「これは早急に王宮へ報告すべき問題だ。それに戦力的には問題ない。なぜならこちらには魔法使いが二人もいるからな。それに領都へはあと一日の行程だ」

「仕方ありませんね。ではダンとグレン、お前たちはここから王宮へと報告に向かえ。報告すべき内容は把握しているな」

「もちろんです。可及的速やかに王都へ戻り、報告いたします」

 優秀な騎士さんだ。

 そう言えば、騎士さんたちはうちの家の騎士じゃないの?

 …って、どうやら違うらしい。軍の騎士隊から護衛として借りたそうだ。どうりでお父様が『お願い』してたわけだよ。


 ダンさんとグレンさんが王都へと出発した後、捕虜二人を馬車の後部に縄で縛り付けてから私たちも領都へと出発した。

 残った死体18人分は土魔法で穴を掘って、そこに埋めた。土魔法も便利だなぁ(遠い目)。

 そして何の問題もなく領都の男爵邸へと到着したのであった。

 余談だが、馬車の中ではお兄様が私をチラチラ見てたよ。でも気付かないふりをして乗り切った。このまま有耶無耶(うやむや)にできるかな?無理だろうな、きっと。


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