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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(6年目)
303/303

303 ようやく結婚式

 忙しくて自分の誕生日も忘れていたんだけどいつの間にか25歳になっていたよ。私よりも一か月早く25歳になったアレンとの婚約期間も丸3年になる。

 講和会議も終わり、初夏の日差しが暑く感じられるようになったころ、結婚式の準備がやっと始まった。

 ついに結婚かぁ。5歳で出会ってからもう20年()つんだね。これだけ長く一緒にいてアレンは飽きないのかな?

「ねぇアレン、本当に私で良いの?もし嫌いになったのなら遠慮なく言ってよね」

 嫌われる理由に心当たりがあり過ぎるのだよ。お(しと)やかさとは無縁だしね。

「君が僕を嫌いになっても、僕が君を嫌いになることは絶対にあり得ないよ。それより君自身はどうなんだい?」

「もちろん、あなたのことが好きだよ。あ、あ、あ、愛してましゅ」

 くっ、()んじゃったよ。てか、好きって言葉はすんなり言えるんだけど、愛してるってのは照れくさくて言いづらいっつーの。顔が火照(ほて)ってるのを感じる。

 でも、性格も容姿もイケメンなアレンは私が噛んだことを大笑いすることもなく、穏やかに微笑んでいるだけだ。

「僕も愛してるよ。これからの人生を君と一緒に歩んでいけることに感謝しかないよ」

 くー、やっぱイケメンだな。うん、私も同じ気持ちだよ。


 この一か月後、グレンテイン王国の王都にあるうちの屋敷でアレンと私の結婚式が()り行われた。アレンのリヴァスト侯爵家の屋敷ではない理由は、やってきた大物の来賓(らいひん)がほとんど私側だからだ。

 ガルム帝国から皇帝陛下とお后様、そして娘のクルミちゃん。ガルム帝国ファインラント領からリード男爵とユーリ準男爵。帝国軍からヨシテル将軍。グレンテイン王国からは国王陛下とヒンデンブルグ公爵、さらにはグランドール辺境伯とシャミュア伯爵。もちろん、シゲノリ大使もいるよ。

 ルーシーちゃんとロザリーちゃんの姉妹にリオン君やマリアンヌちゃんはもちろん、ブレンダも平民だけど当然呼んでいる。クラレンスさん、リヒャルトさん、シャルロッテさんの職人三人組や工房の事務員さんたち、大使館の職員たちもね。

 あ、当然ナタリア先生やミカ様も出席しているのは言うまでもない。

 多くの人たちに祝福されて、私たちは本当に幸せ者だ。

 そして披露宴において、そうそうたる来賓の皆さんのスピーチに出席者一同度肝(どぎも)を抜かれることになるんだけど仕方ないね。なにしろ帝国と王国のトップが揃っているんだから。なお、帝国からはグレンテイン語への通訳者も同行している。私が同時通訳しなくてすんで良かったよ。


 結婚式、そして披露宴とつつがなく終わり、友人たちに囲まれているアレンと私にクルミちゃんが話しかけてきた。

『聖女様、アレン様、ご結婚おめでとうございます。また帝都に遊びに来てくださいね』

『クルミ様、ありがとうございます。聖女ではありませんけどね』

 と、クルミちゃんの後ろからやってきた皇帝陛下がニヤニヤしながら反論した。

『マリア嬢、何を言っておる。そなたは苛烈(かれつ)の聖女ではないか。嘘はいかんな、嘘は』

 ガルム語の分からない友人たちにアレンが同時通訳してくれているんだけど、めっちゃ笑いをこらえてる顔だ。てか、通訳しなくても良いから。

『お父様、苛烈ってどういう意味ですの?』

『ああ、厳しいとか激しいとかいう意味だよ』

『聖女様は厳しいの?』

『普通の聖女様は厳しくないんだけど、この聖女様だけは厳しいんだよ』

 クルミ様が不思議そうな目で私を見ているんだけど、なんだか居たたまれない。

 私は皇帝陛下とクルミちゃんに向かって宣言した。

『皇帝陛下、私は厳しい性格ではございません。クルミ様、私は聖女ではございません。普通の優しい女性ですよ』

『うむ、優しい面があるのは認めよう。だからこそ聖女と呼ばれるのだよ。だが敵に対しては容赦が無いよな。ゆえに苛烈なのだ』

『マリア、君の負けだよ。(いさぎよ)く苛烈の聖女であることを認めなさい』

 アレンが笑いながら追撃してきた。この裏切り者め。私の味方じゃないのかよ。

 まぁ良いけどさ。幸せ気分の私は、海よりも広い心で全てを許してあげよう、そう心に誓った。

『聖女様は悪魔なの?』

 誰だ、クルミちゃんにそんなことを教えたのは!犯人を探し出して断罪してやる!


マリアとアレンの結婚をもって完結です。

Pt(ポイント)によっては(つまり、好評ならば)続編や外伝を執筆するかもしれません。

もっともマリア以外が主人公となる話になりますが…。


この小説ではそれぞれのキャラクターが勝手に動いてくれるので、書くのがとても楽でした。

ちなみに作者の「お気に入り」はシゲノリ氏です。


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