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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(6年目)
301/303

301 戦線拡大

 結論としてはベルンラント王国が予想通り謝罪し、代償として帝国軍の国内通過を認めさせた。

 すぐに帝国軍2個師団が共和国側へ侵攻し、国境の街を攻めたことで講和会議のほうも紛糾(ふんきゅう)することになったけどね。

 私は大使室で講和会議に出席しているカバーヤ代理大使からの報告を聞いた。

『サクラ閣下、帝国軍によるベルンラント侵攻作戦の実施により、休戦協定違反だと共和国側より強硬な抗議を受けました。もちろん、休戦協定はハルナ平原限定であり、貴国とはまだ戦争状態であると主張することで黙らせましたが』

『よくやってくれました。それにしても共和国軍の即応体制はどうなっているのでしょうね?どうやら国境の街を占領できそうな戦況になっているみたいなんですけど』

『帝国貴族からの情報漏洩(ろうえい)はたしかにあったようなんですが、共和国側が本気にしなかったようですね。共和国軍の動員が間に合わず、現時点では言葉による抗議しかできないという状況です』

『はぁー、困ったものですね。侵攻作戦が失敗することを前提にしていたのに、これでは本当に国境線を押し戻せる可能性が高くなってきましたよ』

 本当に困ったものだ。シゲノリ少将に詳細を尋ねてみると、共和国軍地上部隊のベルンラント王国国境到達は二週間後という見込みらしい。二週間もあれば街の二つ三つは落とせちゃうよ。

 航空魔道具(ドローン)部隊ならば素早く到達できるはずなんだけど、ハルナ平原の共和国側陣地から飛び立つ気配は無いそうだ。帝国の休戦協定破りを警戒しているのかな?いや、航続距離の問題か?

 とりあえず占領地の拡大は進めてもらうしかないんだけど、兵站(へいたん)の問題があるので攻勢限界点は見極めておいて欲しい。補給物資の現地調達(要するに略奪)を禁止している関係で、兵站は重要だ。でも、そもそも共和国側に攻め込むつもりは無かったので、補給部隊の編成が間に合っていないのだ。


 そのあとも通信魔道具を使ってシゲノリ少将から戦況報告を受けているんだけど、予想よりも快進撃が続いているみたいで困る。

『国境近くの街だが、無血開城したそうだ。さすがに2個師団に包囲されれば降伏するわな。しかし、帝国軍の規律については、市長をはじめ市民全員が称賛していたそうだぞ』

『そうですか。特別に編成した平民中心の師団だけのことはありますね。兵員の1割が憲兵というのも思い切った編成ですし』

 憲兵とは軍内部の秩序維持を行う者、つまりは軍人を取り締まる軍の中の警察官だ。東条英機のせいでイメージが悪いけど、本来は横暴な軍人を取り締まってくれる一般人の味方なんだよ。そして今回、ベルンラント侵攻作戦に参加する2個師団はもしものときのために特別編成した師団なのだ。そのもしものときが来てしまったわけだけど。

 ちなみに、占領地での一般人には人権など無く、財産の没収や女性への暴行は日常茶飯事で、それが兵士たちへのボーナスになっているという側面もある。これは遺憾ながら我が王国軍でも同じだ。しかし、今回ばかりは一切の略奪・暴行を禁じており、違反者は憲兵により捕縛し厳罰に処すと通達している。

 共和国の人たちも驚いたことだろう。でも、これこそが近代的な軍隊なのだよ。そして、これが帝国軍の規律が称賛された理由ってわけだね。


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