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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(5年目)
287/303

287 共和国首都に到着

 今回のアメリーゴ共和国への旅はお忍びで行われる。したがって護衛も付かないし、共和国政府への事前連絡もしていない。

 護衛がいなくても、自動車で移動するから機動力は問題ないし、魔法による攻撃力や防御力についても全く心配いらない。実は今回は野宿も全く苦にならなくなっている。なぜなら簡易トーチカの内部を改造して、四人程度なら宿泊可能なベッドやキッチン、食事用のテーブルなどを設けているのだ。トイレは元々設置していたしね。無いのは風呂くらいだよ。

 ただし、大人数で戦略級魔法を発動するためのスペースは無くなってしまった(手を繋いで大きな輪になる空間がない)。まぁ、もともとそんなことは一度もやってないから別に良いんだけど。

 問題があるとすれば、(ゼロ)LDK(リビングダイニングキッチンのみで寝室が別ではない)なのでアレンの肩身が狭いくらいか…。女性三人の中に男性一人だからなぁ。


「それではお父様、お母様、お兄様、お義姉(ねえ)さま、カール、行ってきます」

 家族に見送られてシュトレーゼンの屋敷を出立した私は、現在アレンの運転する自動車の後部座席にルーシーちゃんやミカ様とともに座っている。

 そこまでの緊急性は無いので、のんびりとした旅になる予定だ。あ、今回ばかりは水戸黄門パターンは無しだ。印籠(いんろう)(菊水紋のプレート)も共和国では通用しないしね。

 国境をただの観光客として越えてアメリーゴ共和国に入国したのは、出発から五日後のことだった。国境から首都ヨークまでは自動車の速度なら一週間くらいかな?

 街や村があればそこの宿屋に泊まり、無ければ簡易トーチカで野宿する。特にトラブルもなく、一週間後には共和国の首都ヨークへ到着した。


 この時代の街には珍しく、高い塀も深い堀も無く、街に入るための検査も無い。誰でも自由に出入りできる開かれた都市って感じだ。しかも規模が大きい。王都や帝都を知る私だけど、こっちはそれらの数倍の大きさはありそうだ。しかも、日々拡大しているとも聞いたことがある(高等学院の授業で)。

 街道沿いに街の中心部へと進んでいったんだけど、馬車や自動車の数が多いため(この世界で初めての)渋滞を経験することになった。ちなみに自動車の種類は王国製の三輪や五輪ではなく、四輪が多かった(どうやら共和国製のようだ)。

 アメリーゴ語で書かれた看板を眺めていると、宿屋が見つかったのでそこに宿泊可能かどうかを聞いてみた。かなり大きな宿屋(というより、もはや高級ホテル)だったということもあり、問題なくシングルルームを四部屋確保できたよ。


「それではここを拠点に活動することになるわけですが、まずはファインラント亡命政府へのコンタクトですね。どうやって連絡を取ったら良いでしょうか?」

 ホテルの私の部屋に全員集まったところで、まずは作戦会議だ。私のこの問いにアレンが答えた。

「君が身分を明かしてこの国の政府経由で連絡を取る方法が一つ、新聞広告などを掲載することで亡命政府の目に()まるようにすることが一つってところかな」

「新聞広告のような目立つ行為は共和国政府の目にも留まりますわよ。それよりは酒場などで噂話を集めることから始めては?」

 ルーシーちゃんの意見ももっともだね。でも、時間がかかりそうだな。

 次いでミカ様が発言した。

「マリア様が立場を明らかにするつもりなのかどうかをまずは確認すべきではないでしょうか?」

 正論だね。私はできればこっそりとコンタクトを取りたいと思っている。共和国政府から横槍が入らないとも限らないからね。

 この意向を伝えると、やはり新聞広告が一番良いのではないかという意見に傾いた。

「ファインラント語でファインラント王国の人だけに通じるメッセージを掲載したらどうかしら?」

 ルーシーちゃんが良さげなアイディアを出してくれた。うん、そういうのがあれば共和国政府に気付かれずに亡命政府に連絡できるかも。

 この場合、当然のことながらその文面を考えるのはミカ様ってことになる。

「分かりました。新聞に掲載する文面を考えてみます」

 ミカ様のこの言葉で第1回目の作戦会議は終了した。


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