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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(5年目)
275/303

275 領軍

 ここの領主はマサノブ・ツージイ伯爵という名前らしい。って、(つじ)正信(まさのぶ)大佐かよ。帝国人の名前にはやたらと前世の日本人の影響が見受けられるのは何なの?

 ツージイ領の領都は一言で表せば「寂れている」だ。規模自体は大きいのに、ゴーストタウンみたいで活気が無いのだ。はたして風呂のある宿屋はあるのだろうか?


 歩いている人もあまりいない大通りを宿屋を探しながらゆっくりと進んでいると、前方を兵士(1個分隊10名)によって(ふさ)がれた。帝国軍?いや領軍かな?いわゆる領独自の私兵だね。グレンテイン王国の場合は辺境伯領のみ領軍を持てるんだけど、帝国は伯爵領でも軍の編成ができるのかな?

 なお、帝国軍と判断しなかった理由はその装備(剣や鎧)にある。帝国の正規軍は(敵でも味方でも)さんざん見てきたからね。

 シゲノリ大佐が停まった自動車の上で立ち上がり、謎の集団に向かって問いかけた。

『いったい何事でしょうか?あなた方は帝国軍ですか?』

 兵士の中から隊長と(おぼ)しき男性が一歩前へ進み出て言った。

『我々はこの領の領軍である。貴様らには密偵の容疑がかかっている。おとなしく我々に同行せよ』

 え?密偵?まぁ、単なる観光客じゃないことは確かだけどね。とりあえずここはシゲノリ大佐に任せようかな。


『警吏ではなく領軍ですか。いったいいつから伯爵領で領軍を持てるようになったのでしょうか?お教えいただけますか?』

 シゲノリ大佐が言った内容から、やはり帝国でも勝手に私兵を持つことは禁じているみたいだね。

『うるさい!そんなことを貴様らに答える義務はないわ。おとなしくそこから降りて我々に従え』

 ここは相手の出方を見るためにも、いったん捕まるというのも手だな。

『サクラ、武器を出してくれ』

 おっと、捕まる気は無いってことですね。私はアイテムボックスからアレンの剣、自動連射装置(サブマシンガン)2台とミカ様の精密射撃装置(ライフル)を取り出して各人へ手渡した。 これで1個分隊程度なら数秒で殲滅できるよ。

 兵士たちはアレンの持つ剣を見て警戒を強めているけど、それでも人数差があるせいで余裕の表情は崩さない。

 隊長らしき男が私たちに降伏を勧告した。

『おい、武器を捨てろ。まぁ、抵抗しても良いが、腕の一本くらいは覚悟してもらうことになるぞ』

 隊長のこの言葉に応じて兵士たちが抜剣(ばっけん)し、剣を正眼に構えた。この様子を見たシゲノリ大佐が独り言のようにつぶやいた。

『お前たちを捕縛して詳しい事情を聞かせてもらうとしよう』

 シゲノリ大佐の右腕が上がり、そのまま振り下ろされた。攻撃の合図だね。

 私は自動車の上に立ち上がり、自動連射装置(サブマシンガン)を腰だめに構えて引き(がね)を引き絞った。一応、腰から下(足元)を狙うようにしている。殺さないようにね。


 左右に振りながら3秒間連射したあとの路上の有様はひどいものだった。兵士10名全員が路上に倒れて(うめ)いている。

 通り沿いの店の中から見ていたのだろう、左右から歓声が沸き起こった。ん?歓声?こいつらは街の嫌われ者なのかな?

 足を撃ち抜かれて倒れながらも剣を手放さない兵士たちに向かってシゲノリ大佐が言った。

『武器を捨ててもらおうか。命までは取らないから安心して良いぞ』

『き、き、貴様らは、は、反逆者だな。よ、よくも我々に、こ、このようなことを』

『いやいや、勝手に禁止されている領軍を編成しているお前たちのほうが反逆者になるんだが…』

 これを聞いた兵士たちが目を見開いた。あれ?知らなかったの?

『そ、そ、そんなわけがあるか。わ、我々はツージイ伯爵様の忠実なる部下であるぞ』

『ではツージイ伯爵を反逆罪で逮捕しないといけないな。まぁ、詳しい話はこのあとゆっくりと聞かせてもらおうか』

 シゲノリ大佐の微笑みがなんか怖いよ。


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