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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(5年目)
274/303

274 敵討ちの旅

 通信魔道具で皇帝陛下にもこの一件をご報告したところ、めっちゃ(あき)れられた。私の行くところトラブル有りって言われたんだけど、いやいやトラブルを解決している側だよ。

 そう、トラブルメーカーじゃなく、トラブルシューターです。そこ、お間違え無きよう。

 ハウハ家の悲劇については、真実を聞いて激怒していた。まぁ、もう一方の当事者の言い分を聞いてみないと真相は分からないので、これからそこへ行くつもりだと言うと、存分にやってきてくれと言われたよ。


 というわけで、今日はファインラント領の領都を出立する日だ。カバーヤ総督とチュージ親分、それに警吏本部の捜査員たちが見送りに来てくれた。ちなみにカバーヤ総督もファインラント語を話せるので、会話はファインラント語で行っている。

『それでは皆さん、またお会いしましょう。これからこの子の家族の敵討(かたきう)ちに行ってきます』

 なお、カバーヤ総督にはミカ様の身分を明かしていないんだけど、優秀な人だから薄々気付いているみたいだね。

『帝国人の行方不明事件が解決したのは君たちのおかげだ。本当に感謝している。気を付けて旅をしてきてくれたまえ』

『ありがとうございます。ですが事件解決に最も尽力したのは、ここにいるチュージ親分ですよ。どうぞ今後とも良い関係を築いてくださいね』

 カバーヤ総督の言葉に私が返答するとチュージ親分も発言した。

『いや、この姉さんたちの功績であることには間違いねぇ。(わし)らを動かしたのは、この姉さんとこの子だぜ』

 ミカ様を本当の孫娘のように(いつく)しみの目で見たチュージ親分は、照れくさそうに笑っている。


 自動車に乗り込んだ私たちは、アレンの運転で出発した。徐々に遠ざかる親分たちへ手を振っていたんだけど、突然チュージ親分が叫んだ。

『ミカ姫様ぁー、お達者でぇー』

 …って、正体バレバレやん。もはや叫ぶのを止められないし、逃げるように領都を去る私たちだった。


 それから一週間、かなりの強行軍で例の帝国貴族の領地へと到着した。私のアイテムボックスに一週間分の食事(調理済み)を入れてから出発したので、野宿上等ですよ。トイレは簡易トイレ(異次元転送機能付き)があるからね。風呂に入れないことだけが不満だったけど、できるだけ早く奴(素行不良の帝国貴族)と対決したかったから仕方ないね。

『とりあえず領都に入ったら、まずは宿を決めてすぐにお風呂に入りたいよ』

 私が自分の身体の匂いをくんくん()ぐ仕草をしていると、ミカ様にくすくす笑われた。

 そこにシゲノリ大佐のデリカシーの無い言葉の(やいば)が突き付けられた。

『サクラもアカネも少し(けもの)臭くなってるもんな。上等な風呂付きの宿屋を見つけないと』

『ちょっ、お兄ちゃん。そんなこと言う男性は絶対に女性にもてないからね。シャルロッテさんに言いつけるよ』

『おまっ、彼女に言いつけるも何も事実だろうが。本当のことを言って怒られるのは納得いかん』

『デリカシーの問題だよ。口に出して良いことと悪いことがあるっつーの』

 シゲノリ大佐と私の口喧嘩はいつものことなので、アレンやミカ様も静観している。

『ヨシフルさんもサクラもそろそろ領都が見えてきましたよ。ほらっ、準備して』

 運転しているアレンの冷静な言葉に、私たちは偽の身分証を領都の通用門で提示するべく各自で取り出し始めた。

 ちなみに、私たちの体臭について一言も発言しないアレンこそが紳士というべきだろう。シゲノリ大佐も見習ったほうが良いよ。


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