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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(5年目)
270/303

270 捜査会議

 まぁとりあえずは拠点となる宿を決めよう。

 総督府を辞した私たちは自動車で領都内を巡って宿を探した。実は行方不明者が発生している宿屋(宿屋からの申告は無いのであくまでも推測だけど)については先ほどカバーヤ総督から教えてもらったんだけど、さすがにそこには泊まりたくない。落ち着いて泊まれる(襲撃を警戒しなくても良い)拠点が欲しいからね。


 大きくも小さくもなく小綺麗な中規模の宿屋が見つかったので、そこに宿泊することにした。部屋が空いていると良いんだけど。

 宿屋に入るとフロントにいたのは若い女性だった。私はその女性とファインラント語で会話して、一人部屋四室を確保できた。

 偽名が帝国風なので、どうしても帝国人であることはばれてしまう。ただ、特にリアクションもなく、何事もなかったように部屋へ案内された。この宿は大丈夫な宿なのかな。

 部屋は3階で横並びに四室だったので、階段側から順にシゲノリ大佐、私、ミカ様、アレンという部屋割りにした。男性二人で女性二人を守る形だね。

 廊下の反対側は窓なので、3階からの眺めはなかなか良い。ちなみに3階建てなのに中規模なのは、この領都がそれだけ繁栄しているということだ。もっと高い建物も数多くあって裕福な国だったことが(うかが)えるよ。


 部屋に荷物を置いてからしばらくして全員が私の部屋に集合した。なんで皆、私の部屋に集まるの?女性の部屋だよ、まったくもう。

『さて、サクラ。今後の捜査方針を決めようじゃないか』

 シゲノリ大佐の発言から捜査会議が始まった。

『最も簡単で確実なのは(おとり)捜査でしょうね』

 私の発言にアレンが苦言を呈した。

『なぜいつも君は自分の身を危険にさらそうとするんだ?心配するこちらの身にもなってくれ』

『いや単なる一つの案だよ。ブレーンストーミングでは多くの意見を出すことが重要だからね』

 ちなみにブレーンストーミングとは会議の形態の一つで次の特徴を持っている。

・批判厳禁…他人の意見を批判してはならない

・質より量…意見の質よりも量を優先する

・自由奔放…自由な発言を歓迎する

・結合改善…他人の複数の意見を組み合わせて自分の意見としても良い


 私はブレーンストーミングルールを説明したあと言った。

『だから批判は無しだよ。どんどん意見を出し合っていこう』

『その知識をどこから得たのかとても気になるけど、まぁ分かったよ。僕はまずこの領都にある警吏の本部に行って顔つなぎをしておくべきだと思う』

 アレンの言葉はもっともだ。賊の捕縛では協力してもらわなければいけないからね。私は大きな紙にその意見を書き記した。

『そうだな。そこにある情報はカバーヤ総督にも報告されているとは思うが、もしかしたら些細(ささい)な情報は報告されていないかもしれない。そういう情報を知る上でも警吏本部への訪問は必要だな』

『私は疑惑のある宿屋を捜査すべきだと思います。あ、でも捜査権が無いのかな?』

 シゲノリ大佐、ミカ様と続けて発言があったけど、確かに捜査権を持つことは今後必要になりそうだね。

『カバーヤ総督から警吏本部に命令を出してもらって、私たちに捜査権をもらえるように交渉しましょう』

 私のこの言葉にシゲノリ大佐が言った。

『しまった、気付かなかったな。さっきそれを総督に交渉すべきだった』

 こうして意見を出し合いながら、打ち合わせをすること2時間にも及んだ。なかなか有意義な時間だった。


『ではこの多くの意見を集約していきます』

 私は紙に書き出された意見をハサミで切り取っていき、似たような意見を一つにまとめ、そこにラベル(見出し)を付けた。いわゆるKJ法だね。

 そうやって集約された意見は以下の通りだ。

1.捜査権を得る(総督との交渉)

2.警吏本部で行方不明事件に関する些細(ささい)な情報を拾い集める(顔つなぎも含めて)

3.疑惑のある宿屋への訪問(宿の経営者を尋問)

4.囮捜査(宿泊客として疑惑のある宿屋を利用)

5.観光客としてこの領を訪れた帝国人の足取りを追う

6.反社会的組織の組事務所なり本部なりを捜索する

7.反社会的組織のトップ(組長?)との会談

8.反社会的組織が地下に(もぐ)っている場合、酒場などで(うわさ)話を収集する

9.旧ファインラント王国の抵抗勢力(パルチザン)を見つけ、できれば交渉する

 なお、3番と4番の宿屋は別のところだ。てか、疑惑のある宿屋が複数あるってことなんだけどね。


『まず、すぐに着手できるのは1番、2番、3番かな。5番や6番はこの領の警吏にお願いしよう』

 シゲノリ大佐の発言に私を含めて全員が同意した。よし、明日からさっそく捜査開始だ。


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