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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(5年目)
268/303

268 反社会的組織

 結局、賊の総数は13名(重軽傷者12名、無傷の捕虜が1名)だった。アレンが1名を倒し、1名を捕縛。シゲノリ大佐が8名を倒し、ミカ様が3名を倒したわけだね。

 警吏の詰所に連行された無傷の捕虜1名とフロントの女性は、別々の尋問室に入れられて尋問された(拷問されたかどうかは分からない)。

 私たちはさすがに尋問に立ち会うことはできなかったので、あとで警吏の人から聞いたんだけど、なかなかにひどい宿だったらしい。

 狙うのは帝国人のみ。寝込みを襲って金品を強奪、男は問答無用で殺害し、女は慰み者にしたあとで足が付かないようにやはり殺害するという極悪非道な奴らだった。

 観光目的であるにもかかわらず、ファインラント領に入った記録はあるけど出た形跡が無いという帝国人が多いため、総督府のほうでも警吏に命じて調べていたそうだ。監視所の入領検査が厳重だったのはそれが理由らしい。

 今回初めて賊の捕縛に成功したとのことで、私たちは警吏の皆さんからとても感謝されたよ。もちろん正当防衛でお(とが)め無しです。


 ただし、賊はこれで全員ではなく、もっと広範囲に散らばっているらしい(他の街でも同様の被害が出ているみたいなので)。しかも、旧ファインラント王国の抵抗勢力(パルチザン)と繋がっているとの噂もあるとのこと(帝国人だけをターゲットにしていることから)。

 どうやら厄介な大事件に巻き込まれたみたいだね。なんでこう次から次へと私の周囲で事件が起こるのだろう?いったい誰のせいだ?…って、アレンがジト目で私を見ているけど、え?私のせいなの?


 賊たちのアジトを尋問(拷問)によって吐かせ、そこに踏み込んだ警吏の部隊がアジトにいた賊の残り5名を捕縛したらしい。これでこの街の賊は一掃されたそうだ。

 で、この話を警吏の一人から教えてもらったのが翌日の午後だった。私たちは本来なら朝一番で次の街へ出発するところなのに、この街に足止めされていたからね。

 あと、警吏の人から被害が出ている街を教えてもらって、それらの街を順に訪れることにしたよ。まぁ今回のようにうまく遭遇できるかは分からないけどね。


 翌日の早朝に宿を出発した私たちは、お世話になった警吏の人たちに挨拶をしてからこの街を出て、次の街へと向かった。

 その日の夕刻、次の街に着いた私たちは目についた一軒の宿屋に宿泊することにした。ちなみに、この街でも帝国人の行方不明事件が発生しているらしい。

 ただ、ここの宿屋のおばちゃんは私たちが帝国人だということを知ると、声を(ひそ)めて忠告してくれた。

『あんたたち、帝国人であることはできるだけ隠しておきな。厄介な連中が寄ってこないとも限らないからね』

『おばちゃん、厄介な連中って?』

『ああ、厄介な連中は厄介な連中さ。ここがかつてファインラント王国だったときから(うごめ)いている反社会的組織の連中のことさね』

 あ、反社つまり暴力団的な組織のことか。もしかしてこの領全体をカバーする強盗団って、元は反社会的組織だったのか?

『そいつらにも愛国心ってやつが多少なりともあるみたいでね。帝国人ばかりを狙うのさ。あんたたちも気を付けな』

『ありがとう、おばちゃん。気を付けるよ』


 宿の部屋に入ってから、このファインラント語でのやり取りをガルム語に翻訳して、シゲノリ大佐とアレンにも教えてあげた。

『なるほどな。だがそうなると壊滅させるのは無理かもしれないな』

『ええ、もしもファインラント出身の堅気(かたぎ)には手を出さないというポリシーを持つ組織ならば、民衆に(かくま)われる可能性も高くなりますね』

 シゲノリ大佐の言葉にアレンが答えた。そうなんだよな。ファインラント人からすれば、悪の帝国に対抗する英雄という扱いになっているのかもしれない。奴らがやっていることは極悪非道であっても、それは奴ら(または、その知り合い)が帝国からやられたことをやり返しているだけかもしれない。

 だから侵略戦争って嫌なんだよな。報復の連鎖が止まらなくなる。


 総督府のトップ(ファインラント総督)と抵抗勢力(パルチザン)のトップと反社会的組織のトップ(組長?)の全員を集めて話し合いを行うことで、解決できないものだろうか?

 かつての王族であるミカ・ハウハ様と帝国全権大使の私がその場に立ち会えば実現できそうな気もするんだけどな。


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