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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(4年目)
251/303

251 防御陣地に到着

 自動車で一週間ほどかけて最前線の防御陣地に到着した。

 シゲノリ大佐は参謀本部の人間であることを明らかにしているけど、私たち王国側の三人は志願して参戦した技術者という設定で、尉官待遇の軍属という扱いになっている。

 まずは軍司令官へ着任の挨拶をするため、急造の防衛拠点の中にある司令部へと向かった。崖にできた洞窟を奥へと掘り進め、陣地化しているようだ。ここなら空からの攻撃にも十分に耐えられるだろう。

『参謀本部シゲノリ大佐であります。軍属三名を含む1個小隊50名とともに本日着任致しました』

『うむ、(わし)がここの7個師団を1個軍として統括する軍司令官マレスケ・ノーギル侯爵である。着任を歓迎する』

 なんだか名前が少し不吉だな。乃木(のぎ)希典(まれすけ)大将かよ。203高地。


『つきましてはこちらをご覧ください』

 シゲノリ大佐が封書をノーギル侯爵に渡すと、封蝋(ふうろう)を見てギョッとした顔になった。なにしろ皇帝陛下の印璽(いんじ)が押されてるからね。

 震える手で中身の書簡を取り出し、目を通していくノーギル侯爵。

『なるほど、事情はよく分かった。シュトレーゼンの悪魔にお会いできるとは光栄だ。いや我が軍から見れば悪魔ではなく天使だな。サクラ・ガルムという偽名についても了解した。サネユキ殿やアカネ嬢の身の安全も保証しよう』

 うーん、帝国から見れば私はやはり悪魔なのか。まぁ良いけどね。

『サクラです。どうぞよろしくお願い致します』

 アレンやミカ様もノーギル侯爵と挨拶をかわし、これで私たち三人は正式にシゲノリ大佐の部下として働くことになった。ちなみに人払いを行ったので、司令部員は誰もこの部屋の中にはいない。私たちの本当の身分を知っているのはノーギル侯爵のみという状態だ。あ、別に水戸黄門ごっこの伏線じゃないよ。


 このあと、民間人だけど尉官待遇の軍属だと司令部員たちにも紹介され、(おおむ)ね好意的に受け入れられたようだ。じろじろと不快な視線を送ってくる者も少数いたけどね。もしもミカ様や私に不埒(ふらち)なことをしてきたら腕の一本くらいは失うことになるよ。殺気を込めて(にら)みつけたら、途端におどおどと視線をはずしたけどね。

『サクラ、君の威圧は相当なものだと自覚しておいたほうが良いよ。すごい殺気だからね』

 アレンがやれやれといった風情(ふぜい)で肩をすくめて言ったけど、レディに対してちょっと失礼じゃない?

『さすがはシュトレ…ごほんごほん、サクラ君だな。見事な殺気だ』

 ノーギル侯爵もそれって()めてないよね。てか、シュトレーゼンって言いかけたよね、まったくもう。


 そんな一幕(ひとまく)はあったものの、司令部内の医療担当者(軍医総監?)に治癒魔道具20台と通信担当者に通信魔道具30台を渡して、その使い方を説明した。これで帝都に置いてきた分と合わせて治癒魔道具30台、通信魔道具50台を帝国に供与したことになる。ちなみに無償供与だよ。

 どちらも、特に医療担当者が感激していたよ。最初に治癒魔道具の説明を聞いたときには半信半疑で、詐欺師を見るような目で見られたけどね。

 ちょうど司令部員の中に足を引きずっている人がいたので、治癒魔道具を使って治療してあげた。どうやら国境砦を撤退中に負傷したらしい。数十秒後には完治した足で部屋の中を走り回っている元けが人を見て、ノーギル侯爵を含む司令部全員が呆然となったのは言うまでもない。


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