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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(4年目)
250/303

250 家紋

 帝都ガルムンドには二週間ほど滞在した。割と頻繁にお城に呼び出され、クルミ様のお相手をさせされたのは何なのだろう。まぁ可愛い幼女のお相手は私も楽しいから良いけどね。

 そしてついに最前線の防御陣地へと帝都から出発する前日となり、私たち全員はシゲノリ大佐も含め登城した。謁見の間で皇帝陛下からお言葉をいただいたんだけど、同時にあるものを下賜(かし)された。

『マリア嬢、この家紋を刻んだ(ふだ)をそなたに預ける。帝国貴族から難癖を付けられたらこれを見せるように』

 手のひらくらいの大きさの正方形の金属製のプレートで模様が彫り込まれている。上半分が菊の花で、下半分がSの字が左右反転している水の流れみたいな感じ。ってこれって菊水紋じゃないか。楠木(くすのき)正成(まさしげ)かよ。

『皇帝陛下、これはキクスイでございますか?』

『ほほう、よく知ってるな。模様は見たことがあっても、その名称まで知っている者はこの帝国にもそうはいないぞ』

 おお、菊水で合ってたみたいだね。


『この家紋は皇帝の一族であることを示すもので、皇族以外がこの家紋を勝手に使った場合、処刑されるほどのものだ。それゆえ、この札を見せればどのような上位の家格の者でも土下座させることができるぞ』

 にやにやと悪だくみをしているような顔で皇帝陛下がおっしゃった。

『私がこれを使うことを許可していただけるのですか?』

『うむ、そなたは余の(めい)のサクラ・ガルムと名乗るが良い。もちろん、いざというときのためだ。通常は平民のサクラとして行動し、貴族が無理難題を言ってきたりしたら躊躇(ちゅうちょ)なくこの札を見せて、余の姪であることを伝えるようにな』

 またもや水戸黄門パターンか。まぁ、できるだけこの札を使わなくても済むように行動しよう。

 隣のお(きさき)様が目を輝かせてこちらを見ているのが気になるけど、これって絶対土産(みやげ)話を期待している顔だよ。いや、使わないよ…多分。


 余談だけど、蒸気機関の件は皇帝陛下の許可をいただいたので、鍛冶屋のおじさんには蒸気レシプロエンジンや蒸気ボイラー一式を正式発注済みだ。手付金として5万リアンを渡しているので、残り5万リアンは完成品の納品後に支払う予定。おそらく最前線から帝都に戻ってきたときには出来上がっているんじゃないかな。


 そしていよいよ帝都を出発する日、皇帝陛下やお后様、クルミ様のお見送りを受けて私たちは旅立った。帝都に来たときと同様にエイスケ大尉率いる精鋭の特務小隊が護衛として同行するので安心だ。

 クルミ様が泣いちゃって大変だったけどね。思わず誘拐して連れて行きたくなっちゃったくらいだよ。うん、美幼女って素晴らしい。


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