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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(4年目)
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249 鍛冶屋を再訪

 謁見のあと、アイテムボックスから出した治癒魔道具10台と通信魔道具20台を担当者に渡して使用法などの注意点を説明した。ちなみに、アイテムボックスについては旅の途中でシゲノリ大佐に知られてしまったので、もはや気にせず使っている。

 その治癒魔道具の諸注意はアレンから、通信魔道具の諸注意については私が担当した。特に通信魔道具のID番号設定をガルム帝国の国番号を使ったものに変更しないとね(現状グレンテイン王国の国番号になっているため)。

 なお、治癒魔道具の効果には(当然だけど)驚いたみたいだ。通信魔道具についてもスイッチの入れっぱなしで大丈夫なくらいの燃費の良さと、通話にタイムラグが発生しないレスポンス性能には驚いていたよ。どやぁ。


 翌日、私の希望で以前訪れた鍛冶屋を再訪した。

『おじさん、こんにちは。私たちを覚えてる?』

『ん?おお、兄妹(きょうだい)仲の良い嬢ちゃんじゃないか。半年ぶりくらいかな?』

『よく覚えてるね。そうそう、もう半年くらい()ってるかな。あのとき作っていた蒸気機関はどうなったの?』

『おう、きちんと動いたぞ。まあ実験機だったから実験後は鋳潰(いつぶ)してしまったがな』

『ええー、もったいない。私に売ってくれれば良かったのに。10万リアンくらいなら出したのになぁ』

 帝国の通貨単位で10万リアンは王国の通貨単位では1千万エントってところだね。エンジンからボイラーまで一式揃っていたから、このくらいは出しても良かったよ。

 ところが、シゲノリ大佐がまたもや割り込んできた。

『サクラ、帝国内で使うなら良いけど、外国への輸出はダメだぞ。前にも言ったろ?』

『うーん、特例措置とかで許可してもらえないかなぁ。蒸気機関の技術は多分この国が世界一だと思うんだよね、今のところは』

『むむ、仕方ないな。しかるべきところにお(うかが)いを立ててみるよ』

 世界一とおだてたのが功を奏したのか、シゲノリ大佐の態度が軟化した。


『やったー。ヨシフルお兄ちゃんお願いね。おじさん、許可が貰えたらもう一度蒸気機関を作ってもらえるかな?』

『おお良いぞ。ただし多少時間がかかるのは承知してくれ。あと代金だが8万リアンはいただくぞ』

『うん、良いよ。10万リアン払うからもっと良いものを作ってよ』

『はっはっは。分かった分かった。とにかく許可待ちってことだな。正式発注するときにまた連絡してくれ』

 よっしゃ。これで蒸気機関のサンプルを王国に持ち帰れるよ(許可を得られれば…だけど)。ルクス公国から戻ってきた技術派遣団の人たちもそれぞれ蒸気機関を作ろうと試行錯誤しているとは思うけど、やはり帝国のほうが一歩先に進んでいるからね。


 鍛冶屋を出た私たちは街中のレストランで昼食をとることにした。

『お父さん、サクラおばちゃん、サネユキお兄ちゃん、街歩きは楽しいね』

 ニコニコしながらミカ様が言うとシゲノリ大佐も微笑んで言った。

『そうだな。アカネは何が食べたい?何でも好きなものを言ってごらん』

 なんだか本当の親子みたいだね。ってシゲノリ大佐は独身だけどね。

 それよりもサクラおばちゃんは何とかならんもんかね?

『ねえ、アカネちゃん、私のことはサクラお姉ちゃんと呼んでくれないかな?』

 この言葉に即座に反応したのはシゲノリ大佐だった。

『サクラは俺の妹なんだからアカネから見れば叔母(おば)ちゃんで間違いないぞ。気にせずサクラおばちゃんと呼びなさい』

『いやいや私自身が気にしてるんだから「気にせず」はないよね。お兄ちゃんは余計なことを言わないでよ』

『まあまあヨシフルさんもサクラも喧嘩しないで。そろそろお店が混む時間帯だから急いで行こうよ』

 アレンが仲裁に入ってくれたけど、なんとなくデジャブー。半年前にも似たようなことがあったような…。


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