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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(4年目)
243/303

243 天覧飛行

 今日は飛行機械(ヘリコプター)を陛下にお見せする日だ。いわゆる天覧飛行だね。年末で肌寒い日ではあるけど、快晴で日差しが心地良い。

 後席のパイロットはお兄様で、前席にはアレンが搭乗している。

 陛下や王宮の重鎮たちが見つめる中、飛行機械(ヘリコプター)がゆっくりと上昇していく。全員、ポカンと口を開けたまま上空を見ているよ。

 自由自在に空中を飛び回り、飛行機械(ヘリコプター)をデモンストレーションしていくお兄様。ノリノリだね。

 しばらくすると空中の一点にホバリングし、地上目標を攻撃する準備を整える。ほどなくして目標の至近に爆発が発生したことで砲撃を開始したことが分かる。爆発は三度連続して発生し、そのあと飛行機械(ヘリコプター)がゆっくりと降りてきた。

 着陸した飛行機械(ヘリコプター)から降りてきたお兄様とアレンは、直立不動になり陛下たちに一礼した。

 全員呆然としているので、私が呼び水としての拍手をしてあげたら、全員が歓声を上げて拍手を始めたよ。大うけです。

 陛下が全員を代表する形で感想をおっしゃった。

「シュミット殿、アレン殿、見事な飛行、そして砲撃であった。これで我が国の防衛体制が盤石(ばんじゃく)になること間違いないな」

「ありがたきお言葉、恐悦至極(きょうえつしごく)でございます」

「今後も精進(しょうじん)致します」

 ふふ、どうですか。自信作ですよ。うちの工房の製品としては最高傑作と言っても過言ではない。


「マリア嬢も大儀(たいぎ)であった。そなたが考案したのであろう?」

「はい、確かに原案を考えたのは私ですが、きちんと設計図を引いてこれだけのものを作り上げたのは工房の職人たちでございます。さらに工房の事務スタッフも一丸(いちがん)となって開発にあたりました。私よりもその者たちの功績であることは間違いございません」

「そうか、そなたは相変わらずだな。うむ、それではシュトレーゼンの工房関係者全員に金一封を下賜(かし)することにしよう。それで良いかな?」

「ありがとうございます。末代までの栄誉として、工房の皆が喜ぶことと存じます」

 お兄様やアレンもニコニコしてこの会話を聞いている。実際、陛下からの金一封なんて金額の多寡(たか)ではなく、それをいただいたこと自体が名誉だからね。皆、絶対に喜ぶよ。


「さてそれではこのあと、シュミット殿、アレン殿、マリア嬢、ミカ嬢の四人は王宮の応接室に来てくれるかな。少し相談したいことがあるのだ」

「「「「はい、仰せのままに」」」」

 私たち四人が応接室に入って緊張しながら待っていると、陛下と宰相の二人だけが入室してきた(私だけは緊張していなかったけど)。

「呼び止めてすまぬな。相談というのは、帝国と共和国との間で勃発(ぼっぱつ)した戦争のことなのだ」

 お兄様が私たち四人を代表して質問した。

「陛下、恐れながら我々はその件に口出しできる権限がございません。いったいどのようなお話なのでしょうか?」

「うむ、だからこそ『相談』なのだよ。忌憚(きたん)のない意見を聞かせて欲しいのだ」

 ふむ、本来は外交部の仕事だからね。まぁ私は大使という立場上、外交に関して発言できるけど。


「はい、それでは申し上げさせていただきます。帝国と共和国の戦争には不干渉を貫くべきであると愚考致します」

「私もシュミット様と同意見であります」

 お兄様とアレンが関わるべきではないという意見を述べた。

「私はマリア様のご意見に従うだけです」

 この発言はミカ様。いや、自分の意見を述べないとダメだよ。

「ふーむ、ではマリア嬢はどう考える?」

 よし、この機会に帝国行きの許可をもらおう。

「はい、私は国としては不干渉で良いと思います。ですが、個人的には干渉したいとも思っております」

「ほう、どちらに味方する?」

「もちろん帝国でございます。天下三分の計において、共和国が大きくなりすぎるのは我が国の国益に(かな)いません」

 陛下は我が意を得たりって顔になっている。やはり同じことをお考えになっていたみたい。


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