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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
230/303

230 船団司令官との交渉

 この船団の司令官が乗り込んでいる船は最初に逃げ出そうとして大爆発を起こし、今も炎上中の船だった。

 あらら、仕方ないね。私は悪くない(と思う…多分)。

 帝国籍の船が炎上中の船に接舷し、水魔法で消火を試みている。でも詠唱魔法なので威力が弱く、なかなか消化できないようだ。

 炎上中の船の中のシンハ皇国軍兵士たちは、おそらく最初の爆発でほとんどが倒れているのだろう。その兵士たちが復活しさえすれば、彼らのウォーターボールですぐに消火できるはずだ。

 予想通り、しばらくたってから鎮火したため、そのまま帝国籍の船から乗り込んで制圧することになった。

 多少の抵抗はあったようだけど、問題なく一番偉そうな人間を港のほうへ連行してくることができたみたい。さすがはヨシテル将軍の部隊だね。


 さて尋問は私の役目だ。

『はじめまして。そちらは司令官殿と推測していますが、違っていたら申し訳ない。私はマリアと申します。これからあなたを捕虜として尋問しますが、別に黙秘しても構いませんよ。その場合、全員を処刑するだけなので』

 いや、実際は殺さないよ。単なるブラフです。

『まずは所属と階級、お名前を教えていただきましょうか』

『シンハ皇国遠征部隊の司令官であるジョア・ヨグルト少将である。貴国と通商条約を結ぶために大洋を越えてやってきた』

 なんか有名な飲み物を思い出す名前だな。そんなことよりこの目的は嘘だね。

『半年前にやってきた貴国の遠征部隊は、この国で悪逆非道の限りを尽くしました。なので通商ではなく、侵略が目的であることは分かっているのですよ』

『それは私の知らぬことだ。私の目的はあくまでも通商だ。信じて欲しい』

 ふ、そんな言葉に(だま)されるわけないだろう。鼻で笑っちゃうよ。

『では通商条約として、貴国が定期的にこの国に貢物(みつぎもの)を持ってくること。代わりに食料と水を暴利で売ってあげるってことで良いですかね』

『馬鹿な、そんな一方的な話を呑めるわけがなかろう』

『では交渉は決裂ということで、あなた方は犯罪者としてこの国で強制労働ですね』

『な!』

 ふふ、絶句したみたいだけど、そもそも立場の違いを分かっているのかな?

『正直に言って私は面倒くさいことが大嫌いなんですよ。なので皆さんは全員死刑。船は拿捕(だほ)。これが一番面倒がないんですよね』

 いや、まじで面倒くさい。通商条約とか法律家でもない私にはよく分からんよ。


 このあとどうしても侵略を認めず、通商目的であることを主張するヨグルト少将にうんざりした私はヨシテル将軍にも相談し、師団の中から軍政官(法律家としての一面も持つ)の能力を持つ人を派遣してもらって私は通訳に徹することになった。通訳も面倒くさいんだけど仕方ない。

 ちなみに食料や水の代価としてシンハ皇国の貨幣や紙幣を貰っても仕方ないので、金銀や宝石を渡すように交渉したら(あき)れたことに何も持っていなかった。いや、お前らどうやって商売するつもりだったんだよ。やはり侵略目的としか考えられないわけだけど、ヨグルト少将の言い訳は『今回は条約を結んで国交を樹立するだけだった』とのこと。

 まぁ良いさ。支払えないなら現物(船と魔導書)と身体(強制労働)で支払ってもらうまでだ。


 最終的に決まったのは以下の通り。

・船9隻は前回の慰謝料及び補給物資の代価としてこちらへ引き渡すこと(ただし2隻は小破しているけど…えっと犯人はヒューラー船長です)

・一隻だけは石炭、食料、水などの補給作業の終了後、(すみ)やかにシンハ皇国へ戻り、慰謝料の不足分(金銀、宝石など)を積み込んでから再度来航すること

・乗組員1800名は足かせ付きの強制労働(主に大型ドックの建造作業)に従事すること

・通商条約の締結については再度の来航時にあらためて考えるものとする


 なかなか厳しい条件だ。正直もう来航してこないかもしれないけど、それならそれで良い。

 船と労働力を得ることができたので損は無いよ。


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