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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
228/303

228 防衛計画

 砲術訓練のあとは航海術の訓練だ。羅針盤を使って海図に線を引きながら、一定時間ごとに変針を繰り返していく。このあたりは試行錯誤でやっているみたいだけど、私も詳しくないのでどういうやり方が正しいのか分からないよ。GPSも無いので現在位置も分からないし。

 でも洋上で迷子になることもなく、夕刻には港へ戻ることができた。正直ほっとしたよ。

 港の岸壁に降りると身体がふらふらする。ずっと揺られていたからね。船乗りさんは大変だな。

 なお、船の中で見かけなかったリヒャルトさんは、機関室で技術派遣団の人たちと昨日の件を熱く語り合っていたらしい。そう、スクリュープロペラと蒸気タービンの話だね。

 良い意味での技術馬鹿だ。


 夕食をヨシテル将軍からお誘いいただいたので、師団司令部の師団長専用個室での晩餐となった。食卓を囲むのはヨシテル将軍、シゲノリ中佐、アレン、ミカ様それに私の五人だ。

 食事中の話題として、帝国内を平民に扮して悪徳領主成敗の旅をしたことをヨシテル将軍に話してあげた。さらにその話を皇帝陛下やお(きさき)様が(特にお后様が)喜んだことも付け加えた。

 で、それを聞いたシゲノリ中佐が少し青ざめていたけど、自業自得ってやつだろう。

『今度それをやるときは吾輩も参加したいものだ。役柄はそうだな、マリア嬢の父親でどうだ?』

『ええ、そんな機会があるかどうかは分かりませんが、良いですよ。偽名は、そうですね…ヘイハチローでいかがですか?』

 東郷平八郎元帥の名前なら文句は無いだろう。

『はっはっは、良いな、その名前。気に入った。遠話の魔道具(通信魔道具のことね)で相手が吾輩かどうか疑わしい場合、その偽名を合言葉にしよう。ほかの者もそれで頼むぞ』

 ヨシテル将軍もこういうもう一人の自分みたいな設定が好きみたいだね。あれ?設定が私の父親ってことはシゲノリ中佐の父親でもあるんだけど、歳が合わないような…。割とがばがばな設定だ。


 それから一週間ほど経過したけど、シンハ皇国の船団がなかなかやってこない。

 ちなみに防衛の計画は次の通りだ。

・うちの船のように遠隔攻撃手段が無いため、前回と同様、防御結界装置を多重(四重)展開して剣で突撃して制圧する

・そのためにはいったん敵の全部隊を港に上陸させてしまうのが望ましい

・第一陣の部隊が橋頭堡(きょうとうほ)を築けているかが不明な第二陣の部隊は慎重に上陸を図ると思われるが、下手したら上陸地点を変更する可能性もある

・そもそもこの港に来航するかどうかも分からない(そこまで正確な航海術を持っていないかもしれない)

・ただし、シンハ皇国に逆戻りすることはあり得ない(燃料や食料、水などの補給の問題)

・全ての海岸線を警戒することはできないが、泳いで上陸可能な砂浜などには監視員を置いている


 これを聞いた私は懸念を表明した。

『第二陣の部隊は人員を上陸させるでしょうか?上陸させるにしても、少数の斥候だけのような気がしますけど』

『分かっている。吾輩もそう思うのだが、名案が浮かばんのだ』

『最初は戦闘ではなく、交渉で(のぞ)むのはどうでしょう?こちらには多くの捕虜もいることですし、言葉の壁なら私がいますので』

 通商のために国交を樹立する方向で進めるのが平和的だよね。


 この話し合いにより改定された作戦案が次のものになる。

・港内に船団全てが入ってきた時点で、港口をうちの船を使って閉塞(へいそく)する(逃がさないため)

・接岸できるスペースを一隻分だけ開けておいて、少数の斥候部隊が上陸できるようにしておく

・防御結界装置を多重展開したヨシテル将軍の部隊と私が、上陸部隊を半包囲したあと交渉に移る

・この港とは別の地点に現れた場合は、うちの船を使ってこの港へ誘導する


 またもや私と王国軍の負担が大きくなるけど、仕方ないね。


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