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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
217/303

217 技術派遣団

 揺れる船上から精度よく砲撃するにはもう一つ必要なものがある。スタビライザー(安定化装置)だ。

 でも私は仕組みを知らないし、技術者に現地で試行錯誤してもらうしかないかな。最悪無くても砲撃は可能だしね。

 留学生の選定は私たちが帰国後すぐに始まって、鍛冶師を中心とした技術者集団20名が『技術派遣団』として編成された。そこにシップガンの魔法陣を内蔵する魔道具(艦砲魔道具)10門を持ったリヒャルトさんが同行することになった。てか、私が無理やりねじ込んだ。

 陛下や王宮の関係者には魔道具の威力を実際に披露したので、船への取り付けに関しては問題なく許可をいただいたよ(片舷5門で両舷10門になる予定)。披露した際、王都内に爆発音が連続して響いたので、王都民には何事かと(天変地異かと)思われたみたいだけど仕方ないね。陛下をリヴァスト領の荒野にお連れするわけにはいかないからね。

 陛下をはじめとした見学者たちは、皆一様に顔を青くさせながら『爆発』を見ていたよ。何となく私の悪評というか二つ名が生まれそうな雰囲気もあったけど、気にしたら負けだ。

 護衛部隊は当然ヒューラー小隊長率いる『自動車化魔道小隊』だ。戦闘員用に5台、派遣団員用に2台、艦砲魔道具(シップガン)やその他機材の運搬用に1台の自動車を割り当て、現地へ向かうことになる。

 私や友人たちは同行しない。リヒャルトさんには通信魔道具も持たせているから、何かあれば連絡してもらえば良い。


 『技術派遣団』が王都を出発してから約二週間後、リヒャルトさんから通信魔道具で連絡が入った。問題なくルクス公国に到着したそうだ。

 グレンテイン王国の国民と分かったとたんに、ルクス公国の人々から大歓迎を受けたらしいよ。ヨシテル将軍とも直接お会いして、私からの書簡を手渡したとのこと。ちなみに書簡には技術派遣団をよろしくということと、ミカ様が王国の子爵となったことなどを記しておいた。ついでに私や友人たちの家が陞爵(しょうしゃく)したこともね。


 そのあと一日一回は定期連絡を入れてもらっているけど、蒸気機関の研究や運用は順調みたいだ。

 艦砲魔道具(シップガン)については、砲架を舷側に据え付けてそこに固定することで、砲撃時の安定性の確保とこの魔道具自体を盗まれないようにしたとのこと。ただし、砲撃試験は沖に出てからこっそりと行う予定だと言っていた。ただ、スタビライザーはやはり難しいみたいで実現できていない。

 船で使用する石炭の補給に関しては、帝国内の例の炭鉱村が大々的に開発されて、掘り出された石炭が次々にルクス公国へ輸出されているそうだ。技術派遣団の団長には石炭の購入権限も与えているので、必要な量は現地で調達できているらしい。

 あと、運用(航海)訓練については、『自動車化魔道小隊』の中から将来の機関士や航海士となる者を選抜して行っている。羅針盤は船に据え付けられているので、その読み方なんかを学んでいるみたいだね。蒸気機関やボイラーの実運用には技術派遣団の技術者たちも積極的に関与することで、総合的な技術レベルの向上を図っているそうだ。


 ちなみに派遣期間は三か月の予定だ。この第一陣が帰国したら次の第二陣が出発するようにして、できるだけ多くの技術者に勉強させてあげられるように計画している。

 なお、第二陣には私も同行するつもりだ。その時期にシンハ皇国の増援部隊が来航するはずだからね。通訳ができる人間がいないと色々と困るだろうし。


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