215 家族への報告
私たちが帝国(及びルクス公国)へ行っている間に第2回ボートレース大会が開催されたそうだ。
今回も大盛況だったそうで、大会自体は大成功だったとのこと。なお、今回もシュトレーゼン家がスポンサーになったことにより第1回大会と同じ賞金額を用意できた。ただ、出場チーム数が増え過ぎたため、事前に予選会を行って本選出場チームを絞ったそうだ。なんかどんどん規模が大きくなっていくね。
せっかく出場の準備を進めていたロザリーちゃんとブレンダには悪いことをしたよ。
なお、この話は屋敷に戻ってからお兄様とお義姉さまから聞いたんだけど、今回は運営に関わることはなくお金だけを出したそうだ。まぁ私がいなかったからね。
戦争が終わったので、帝国貴族や共和国の商人も観光で見に来たって話だよ。屋台や食事処でガルム語やアメリーゴ語が飛び交っていたらしいね。
工房の仕事に関しては私たち事務方(アレン、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん、私)が不在の間、休みを増やすことで対応したらしい。工房の月間製造数量は低下するけど、関係者(取引先など)には緊急事態ということで納得してもらったそうだ。
ちなみに、今回の帝国(及びルクス公国)への旅に関しては、向こうで何があったのかは特に何も聞かれなかった。お父様もお兄様もそれが王国の機密情報だということをわきまえているからね。
ただ、我が家の陞爵の件とアレンとの婚約について報告するとかなり驚かれた。詳細については直接陛下にお聞きになってください、お父様。
陞爵については、お父様とお兄様は予想通り喜んでくれた。うん、ホッとしたよ。お母様はあまり喜んでなかったけどね。
「マリア、男爵夫人のときは気楽な付き合いが多かったけど、伯爵夫人ともなると高位貴族との付き合いも多くなるし、少し気が重いわね。ペリーヌ、あなたも大変よ。なにしろ次期伯爵夫人ですからね」
ペリーヌお義姉さまも泣きそうになりながら私に文句を言った。
「マリアぁ、実家のライアン家が男爵位になったのは嬉しいけど、うちが伯爵家になるなんて困るよ。私ってば、もともと準男爵家の娘だよ。ほぼほぼ平民なんだよ」
ははは、私は悪くない。苦情は陛下へどうぞ。
「でもアレン様とのご婚約は本当におめでとう。昔から想いあっていた二人が結ばれて嬉しいよ」
婚約の件は祝ってくれた。ありがとうお義姉さま。お母様も婚約に関しては賛成のようだ。
「本当にね。我が家が伯爵家になったことで成立した婚約と考えれば、陞爵も仕方ないわね」
いや、本当に陞爵が嫌なんだね。うちは資産状況と爵位がつり合ってなかったんだから、これでつり合いがとれるというもんだよ。高位貴族との付き合いも金の力で押し切れば良いんじゃないかな。
お父様がミカ様に言った。
「ミカ様も叙爵の件、おめでとうございます。もしも別に屋敷を構えたければそのように手配致しますが、今後もこの屋敷にご滞在したければどうぞ末永くいらしてください」
「ありがとうございます。マリア様がご結婚されてこの屋敷を出ることになるまでは、ここに滞在させていただければと思います」
ん?アレンと私の新居についてくるんじゃないだろうね?いや、まさかね。