表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
213/303

213 炭鉱

 帰路の車内ではシゲノリ中佐と鉱山に関する話をした。

「帝国内で燃える石の噂を聞いたことはないですか?燃える水でも良いのですが」

 うん、石炭か原油のことだね。原油の場合、精製方法を知らないのでちょっと困るんだけど。


 船から取ってきた石炭のサンプルを見せながら尋ねると、古い記録にそういう報告が記載されていたのを見たことがあるらしい。

 珍しい話なので中佐の記憶にも残っていたそうだ。記憶力良いなぁ、さすが参謀本部の人。

 王国へ続く街道からはそれるけど、その報告のあった地へ視察に行くことになった。てか普通、そんなところ(戦略的に重要な場所)へ他国の人間を連れて行かないよ。めちゃ信用されてるなぁ。


 王国への帰国が一週間程度遅れるけど、通信魔道具で陛下にも報告したし、少しくらい観光したって良いよね。せっかくの旅だよ。

 街道をそれてから二日ほどかかって、燃える石の報告があった小さな村へ到着した。

 シゲノリ中佐が村長さんに聞いてくれたところによると、井戸を掘る際の露天掘りで燃える石が掘り出されたらしい。なぜ燃えることが分かったのかは不明だけど、水が出なかったのでその井戸は放棄されたとのこと。

 その場所を見に行くと地面に穴が開いているけど、周りを木の柵で囲んでいるだけで埋め戻してはいないようだ。きっと面倒だったに違いない。

 穴の底を光の魔道具で照らすと、確かに水は無く底の部分は黒かった。ガスがたまっていたら危険なので、火をつけた枝を落としてみた。底の部分で枝が燃えているので酸素も大丈夫っぽい。

 本当は鳥かごに入れたカナリアなどの小鳥を降ろして確かめるべきなんだけど、可哀想でできないよ。

 底までは10メートルくらいなので、縄梯子(なわばしご)を下ろして私自ら降りていくことにした。鑑定魔法を使えるのが私だけなので仕方ないね(友人たち6人全員から反対されたけど)。


 村の人から借りたつるはしを持って底まで降りた私は、まず鑑定魔法で底の部分を鑑定してみた。うむ、間違いなく石炭だよ。しかも上質の無煙炭(むえんたん)だよ、すごい。

 つるはしで叩いてできた欠片かけらをいくつか袋に入れて持ち帰った私は、普通の石で簡単なかまどを作ってもらい、そこで袋から出した石炭を燃やしてみた。ほとんど煙も出ず、火力も強くて素晴らしい石炭だよ。

 あ、村の家の台所にある(かまど)を借りなかった理由は、火力が強すぎて(かまど)が壊れるおそれがあったから。


 私は興奮しながらシゲノリ中佐にこの村の石炭堀りを(すす)めた。蒸気機関の動力船があっても燃料が無ければ意味がないからね。産業革命には燃料が必要です。

 もちろん王国籍の船(練習船1隻)のためにも石炭は購入したいから、ここの炭鉱開発はぜひ進めてもらいたいわけだ。王国でも石炭探しは行うけど、すぐに見つかるとは限らないからね。

「すぐに行政府へ報告して、その石炭?ですか。掘り出す手配を進めていきます。いやぁ、さすがは聖女様ですね。驚きました」

 ちょーっと待て!聖女様って何だ?こっちが驚いたよ。ほらルーシーちゃんの目がキラキラしちゃってるよ。どうすんの?


「ルクス公国では大使閣下のことを聖女様と(たた)える者が(あと)()たず、つい私も言ってしまいました。はっはっは」

 いや笑い事じゃねぇ。本当の本当にやめて欲しい。教会から(にら)まれるだろ?宗教関係は怖いんだよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ