210 後始末①
今回の戦闘はガルム帝国において『ルクス公国防衛戦』として記録されることになった。
・帝国側参戦者数:10,050名(帝国軍1個師団+王国軍1個小隊)
・帝国側の中核戦力:550名(帝国軍1個大隊+王国軍1個小隊)
・シンハ皇国側参戦者数:1,997名(3名は事前に捕縛)
・帝国側死者数:なし
・帝国側負傷者数:127名(治癒魔道具で治療済みなので実質ゼロ)
・シンハ皇国側死者数:287名
・シンハ皇国側負傷者数:1,703名
まさに完全勝利だね。
なお、私たち7人の存在は含んでいない(公式記録としては参戦していないことになっている)。
シゲノリ中佐が集計した数字を見てヨシテル将軍が私たちに言った。
「もしもお主たちがいなかったら、吾輩は力押しで攻め込んで多くの死傷者を出しただろう。さらに船を取り逃がす失態を犯したかもしれん。5倍の人数で攻め込んで、それでも負けた可能性すらあることを考えると、お主たちの存在は本当にありがたかったぞ。感謝する」
「いえいえ、お役に立てて光栄です。それよりも1,713名の捕虜はどのように処遇するおつもりですか?」
「うむ、言葉が通じぬのが問題だ。吾輩の個人的見解としては、面倒なので全員死刑にしてしまっても良いのではないかとも思っておる。この国の元首であるルクス大公様と我が国の皇帝陛下のご判断にお任せするしかないのだが…」
「被害者女性たちに約束した去勢処理についてはお願いしても構いませんか?あと、女性たちに面通しさせて死刑にしたい者を選んでもらい、その者たちを戦闘で死んだことにしていただきたいのですが」
これにシゲノリ中佐が反応した。
「戦闘詳報は公式記録です。それを改ざんせよとおっしゃるのか?」
「はい、負傷がもとで数日後に死んだということにしていただければと思います」
「大使閣下はなぜそこまでルクス公国の国民に配慮されるので?」
「身体の傷は治癒魔道具で癒せても、心の傷は癒せません。少しでも彼女たちが前を向いて歩けるようにしてあげたいのです。国の違いなど関係ありません。これは同じ女性としての思いです」
ヨシテル将軍が感銘を受けたように言った。
「うむ、吾輩の判断でお主の望むように取り図ろう。その方向ですぐに手配を進めるように」
命令されたシゲノリ中佐は特に反論することもなく、手配のために立ち去った。本当はシゲノリ中佐も賛成だったんじゃないのかな?
結局1,500名余りが処刑された。しかも全員、首だけ出して身体を土に埋めて、そこに石を投げるという処刑方法だ。
当然石を投げるのはアザミさんを始めとする被害者女性たちだ。彼女たちにはその権利がある。泣きながら思いっきり石を投げ、目や鼻に命中するたびに嬉しそうに微笑んでいたよ。
それでもまだ生きていた者は首をのこぎりで少しずつ切っていく、いわゆるのこぎり引きの刑にした。
この処刑方法は私の発案だったんだけど、周りからは引かれまくったよ。うむ、少しだけ残酷だったかな?いや、女性たちが受けた仕打ちを考えるとまだまだ甘いね。
死刑にならなかった者たちも男性器をちょん切って、二度と女性に不埒な真似ができないようにした。
これに絶望していた者たちも仲間の処刑現場を見せてあげたら、まだ自分たちはマシだったんだと思ったようだね。余談だけど、最初に捕虜になったチュール少尉は生き残ったけど、態度の悪かった軍曹と伍長は処刑対象だったよ。
色々とお手伝いをしてくれていたアザミさんが私に言った。
『大使閣下、本当にありがとうございました。私の恋人もこれで浮かばれます。私自身の心の整理もつきました。これからは前向きに生きていきたいと思います』
うん、ヨシテル将軍が被害者女性たちの生活を保障してくれたけど、私からも陛下にお願いして帝国皇帝への親書を出してもらおう。
そう、特別の御高配を賜らんことを願うって文面だ。ルクス国民斯く戦えり。