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021 10歳になりました

 やっと今日10歳の誕生日を迎える。

 前世の意識が浮上してから5年かぁ。

 色々あった5年間だったよ。


 まず家族については何も変わりない。

 相変わらず親ばか全開のお父様とマナーには少し厳しいけど優しいお母様、何かというと頭を撫でてこようとするお兄様。

 幸せ家族ばんざい。


 次にナタリア先生だが、出産を機に家庭教師をはずれてしまった。

 先生が準男爵に叙爵されたあと、ほどなくしてグレゴール氏がプロポーズしたそうな。

 入り婿としてノイマン家に入る形になって、あの学芸員さんはグレゴール・フォン・ノイマンとなった。

 1年後に娘さんを出産し、今は育児に奮闘しているらしい。貴族の場合は乳母を雇ったりするのが普通だけど、ノイマン家では母親自ら母乳で育て愛情を注いでいるらしい。先生、元平民だもんね。

 娘さんのマリアンヌちゃんが3歳になった際にうちに挨拶に連れてきたんだけど、イケメンと美女を両親に持つだけあって超可愛い女の子だった。娘さんの名前が私の名前に似ていることについては深く考えないようにしよう。


 ナタリア先生の代わりの新しい家庭教師は男の人だ。お父様が少し難色を示したけど女の先生ってあまりいないんだよね。貴族家の女性って学院を卒業したらすぐに結婚しちゃうし、高等学院に平民の女性はほとんどいない。

 この人、魔法は使えないらしくて魔法の実技指導はできない。その代わり数学の知識が半端ないという優秀な先生だ。

 お兄様のほうは年齢にふさわしい授業内容だが、私のほうはすでに因数分解を終了し、対数(log)なんかに入っている。

 フーリエ伯爵家の五男でお名前はジョゼフ様。FFT(高速フーリエ変換)のアルゴリズムを思い出すよ。あ、ただしこの世界にはまだフーリエ級数の公式は発表されていない。ジョゼフ先生が考えだしそうだけどね、名前的に。


 侯爵家のアレンとは今でも親友だ。

 互いの家を行き来するのはもちろん、魔法技術の切磋琢磨を図るため頻繁に交流している。今では詠唱魔法に関しては私と同程度の技術を持っているよ。さすがに魔法陣についてはまだ秘密だけどね。

 友達といえば、女の子の友達もできました!うちで開いたお茶会に来てくれた子の中で気の合う子がいたんだよね。

 学院入学後のぼっち回避という面でも喜ばしい。

 子爵家ご令嬢のルーシーメイ様、いやルーシーちゃんなんだけど、大きな丸眼鏡が特徴の可愛い女の子だ。読書が趣味で物静かな感じだけど実は魔法も得意らしい。今度見せてもらおう。


 その魔法についての研究は割と順調だ。

 詠唱魔法については5属性(火・水・風・土・光)全て基本的な魔法は使えるようになった。

 魔力量もそこそこ増えた(つまり体重も増えた?)ので、大人しか使えないような多くの魔力を消費する魔法は無理だけど、なかなかの威力の魔法も撃てるようになった。

 今やファイアアローで木製の的を破壊できます。


 魔法陣については鑑定とアイテムボックスを毎日使っているので、この2つについては完璧に暗記している。

 そういえば5歳児のときには気付かなかったのだが、人に対して鑑定を使うとその人の魔力量が見えたのには驚いた。

 もちろん鏡を使って自分に対しての鑑定もできたので、魔力量の変化が体重に比例しているという管理者の言葉が真実だったことを確かめることができた。

 最初は鏡自体を鑑定しちゃってたけど、鏡の奥の私自身に焦点を合わせることで自分自身を鑑定できたのよね。

 余談だけど鏡の価値は1,000,000エントだった。割ったらえらいことだ。こえぇ。


 ただし、そのほかの魔法陣は全く試せてない。せっかくファイアボールやウォーターボールの魔法陣があるのに宝の持ち腐れだ。

 我が家の裏庭の魔法練習場で試すと、やばい騒ぎになることが予想できてしまう。魔法陣自体の解析は簡単なので、その威力も推測できてしまうのだ。

 簡単に撃てる魔法じゃない。

 まぁ試していないだけで、魔法陣自体は完璧に覚えているけどね。ナタリア先生にいただいた最初の3枚の魔法陣の内の2枚なんだから宝物として毎日眺めてます。いつでもすぐに発動できるよ。しないけど。


 あー、それにしても転移魔法とかないのかな?

 あれば人のいない未開の地とかに行って試せるんだけどな。

 あと飛行魔法とか…。

 博物館には年に数回は足を運んで、面白そうな魔法陣を転写してもらってるんだけど、転移や飛行の魔法はないんだよね。

 自分で作るしかないか?

 はぁ、貴族令嬢には自由が少なすぎるよ。


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