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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
205/303

205 攻勢準備

 ヨシテル将軍率いる師団の中から精鋭を選抜して500名の1個大隊を編成した。剣士400名と弓士100名だ。

 戦場の狭さから10個の小隊(各50名)を構成し、小隊単位で任務を遂行する。1個小隊は剣士40名と弓士10名で魔導師は入れていない。

 大隊長としてはヨシテル将軍自身が()き、全体を指揮する。ヨシテル将軍の剣豪っぷりは知ってるので戦闘力については心配ないけど、魔法防御が心配なので私の防御結界装置を貸してあげた。

 私なら自分でマジックガードを発動できるし、隣にいるアレンが防御結界装置を発動してくれるから安心だ。


 王国の小隊『自動車化魔道小隊』は機動力のある遊撃部隊として戦場を縦横無尽に走り回る予定だ。一応ヨシテル将軍の指揮下には入るけど、自由に行動しても良いというお墨付きをいただいている。

 私たち大使一行7名は戦場には向かわない。安全第一ですよ。物語なら私やアレンが活躍する展開になるんだろうけど、これは現実(リアル)だからね。

 連隊長の一人が指揮する帝国軍師団の残り9500人とともに後方待機になる。もしもこちら側に逃げ出してきた敵がいたら、捕縛または殲滅する予定だ。たとえ敵が一人だけであっても、対処できるのは私たちだけだろうし。


 敵の占領地への突入は明日の深夜0時ということになった。師団到着から数えると二日後となる。

 10個の小隊がそれぞれ割り当てられた区域を制圧していき、最後に敵の本拠地で集合するという分散・集合の形態で作戦が組まれた。

 捕虜となったチュール少尉の情報によると、本拠地には千人ほどが集結しているらしいけど残り千人は街の中に分散しているらしいからね。

 捕らわれている若い女性たちを人質(というか肉壁)にする可能性もあって、その対処法が話し合われた。

「ルクス公国の大事な国民だ。できれば助け出してあげたいが、状況によっては難しいかもしれぬな」

 苦虫を噛み潰したような表情でヨシテル将軍が発言したけど、私も同じ意見だ。

 何かうまい手はないものかな?

 RPGだったらこんなときはスリープの呪文なんかで敵を眠らせるなんてことができるんだろうな。


 ああ、精密射撃装置(ライフル)を50台くらい作っておけば良かったよ。人質事件では狙撃手(スナイパー)の出番だからね。

 まぁ無いものをどうこう言っても仕方ない。

 今あるもので何とかしないと…。

 考え抜いた末にある提案を行った。

「ヨシテル将軍、一つ提案したいことがあるのですが…」

「うむ、なんだね?」

「部隊編成を組み替えてはいかがでしょうか?2個の小隊を合わせて1個中隊として、そこにうちの分隊を1個お付けします。これにより遠距離攻撃能力が跳ね上がりますので、人質を避けて敵を倒すこともできると思います」

 私は自動連射装置(サブマシンガン)の威力を披露してあげた。どうせ戦場ではばれるからね。

「この武器の有効射程距離は100メートルですが、それだけ遠いと射撃精度が確保できません。しかし、敵が人質をとって交渉しようとする場合、その距離はせいぜい20から30メートルほどでしょう。それならこの武器の必中距離です。ピンポイントで敵のみを倒すことができるでしょう」

 この自動連射装置(サブマシンガン)の威力を目撃した帝国軍兵士は、一人の例外もなく恐怖の色を顔に浮かべていたよ。もちろん豪胆なヨシテル将軍や冷静なシゲノリ中佐もね。

「その武器が貴国の同盟国であるアメリーゴ共和国へ供与されなかったことに感謝するしかないな」

 ヨシテル将軍が感慨深げにぽつりと漏らした言葉に、シゲノリ中佐も深く(うなず)いていた。


 さらに予備の通信魔道具をヨシテル将軍に貸してあげるとともに、『自動車化魔道小隊』の各分隊に配備している通信魔道具をそれぞれの中隊長に貸与した。これで5個の中隊をヨシテル将軍が手足のように指揮命令できるだろう。帝国軍の通信魔道具は性能が悪そうなので、うちのを貸してあげることにしたんだよ。仕方ないね。


 まとめると選抜大隊の構成は以下の通りだ。

・大隊長はヨシテル中将で大隊本部員は4名(通信魔道具による全体指揮)

・第1中隊から第5中隊まで5個の中隊を編成

・1個中隊の編成は、剣士80名、弓士20名、王国の分隊10名で通信魔道具一つと治癒魔道具一つを装備

・帝国側の人員は防御結界装置を一人当たり4個装備し、王国の分隊10名はうちの防御結界装置を各人が装備

・王国の分隊10名は全員が自動連射装置(サブマシンガン)を装備するが自動車は使用しない


 ちなみに治癒魔道具の存在もどうせ分かることだし、事前に教えておいてあげた。

 王国の技術力が帝国のはるか上にあることを理解したヨシテル将軍やシゲノリ中佐は、もはや達観の域に達しているようで「へぇー」って感じで驚くことすら放棄していたよ。


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