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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
200/303

200 マジックアポート改

 対岸の監視拠点とした建物の一室でアザミさんを休ませてあげた。部屋の中には私とアレン、ルーシーちゃん、ブレンダがいてアザミさんの様子を見ている。自殺とかされないようにね。

 アレンが鋭い目で私に尋ねた。

「マリアさん、さっきの引き寄せ(アポート)はどういうことかな?」

「あー、あれはマジックアポート改と申しまして、引き寄せ対象に生物を指定できる改良型でございます」

 って、めちゃ丁寧語になっちゃった。あと改良型というよりは生物チェックを無効にしているだけなんだけどね。

 アレンがやれやれといった感じで首を振っているけど、なんか(あき)れられてる?


 ルーシーちゃんが恍惚として、ブレンダが懐疑的に発言した。

「マリアちゃん、ついに人間の転移魔法に成功したんですのね。やはりマリアちゃんは神…」

「なんで私たちには教えてくれないのさ。もしかして危険なの?」

 いや、ルーシーちゃん、私は神じゃないから。あとブレンダ、鋭いな。

 私は人間を引き寄せる際の危険性(異次元空間から出られなくなること)を説明してあげた。全員が納得したようだ。


「たしかにマジックアポートの練習時に、引き寄せに失敗して対象物が消えてしまうことがあったけど、そういうことだったんだね」

「さっきはアザミさんがファイアボールで殺される寸前だったので、イチかバチかで発動したんだよ」

「僕も望遠鏡で見ていたけど、あの火球の大きさはファイアボールだった。敵は魔法陣の使い方を知っているとみて間違いないだろうね」

「うん、とても厄介だよ。古代の魔導書の魔法陣を利用できるだけなのか、魔法陣を描く技術を持っているかによって危険度は変わるけどね」

 そう、私と同程度の技術があるなら、かなりやばい敵だ。

 来航者の捕虜が一人くらい欲しいところだね。聞きたいことが山ほどあるよ。


 少し仮眠をとっていたアザミさんがグレンテイン語による私たちの会話の声で目覚めたのか、起き上がって私に聞いてきた。

『あなたはガルム帝国の方ではないのですか?』

『ええ、私はマリア・フォン・シュトレーゼン。グレンテイン王国の全権大使としてここにいるの。でも心配しないで。我が国は帝国と講和したから今は敵じゃないよ』

『そんな偉いお方とは知らず、失礼しました』

 かしこまるアザミさんに楽にするように言ってから、私とアレンは部屋を出た。ルーシーちゃんとブレンダにはもう少しいてもらおう。言葉が通じないから不便だろうけど。


「ねえ、アレン。情報を得るためにも敵を一人、生かした状態で捕まえたいの。何か作戦はないかしら」

「うーん、川の対岸から橋が常に警戒されていると考えると、潜入は難しいね。こちら側にのこのこ出てきてくれると良いんだけど」

 ここで私はピーンときた。確かに潜入するのは危険すぎる。でも(おとり)を使えば何人か川のこちら側にやってくる馬鹿がいるかもしれない。

「ダメだよ、マリアさん。自分を(おとり)にするのは禁止だからね」

 って何も言ってないのに、あなたはエスパーか?心を読まないでほしいよ。


「たしかにマリアさんのような美女が歩いていたら馬鹿な奴らがやってくるかもしれないけど、危険すぎる。君は全権大使なんだから自重するようにね」

 うーむ、でも私は自分以外の人間を(おとり)にはしたくない。

 (おとり)作戦は無理か…。

 ここで敵の監視にあたっていたシゲノリ中佐が私たちを呼びにきた。なお、シゲノリ中佐には私の持っていた望遠鏡を貸してあげている。初めて望遠鏡を(のぞ)いた中佐はめちゃくちゃ感動していたけどね。

「敵に動きがあったようです。3騎の騎馬が橋を渡ってこちら側の区域に来るようです。おそらく斥候部隊による偵察でしょう」

 なんと何もしてないのに敵のほうから来てくれるよ。飛んで火に()る夏の虫だね。


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