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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(3年目)
198/303

198 帝国領

 帝国領に入るとき帝国側の検問所には案内人が待っていた。

 グレンテイン語が話せる軍人さんで、なんと二年前のブレーン会戦で降伏の使者として白旗を掲げてやってきた参謀殿だったよ。

 私たちは簡易トーチカの中に隠れていたから、二年前には会ってないんだけど、舟艇で川を渡ってくるのは見たんだよね。

「お初にお目にかかります。帝国軍中佐シゲノリと申します。大使閣下ご一行の案内を務めさせていただきます」

 やはり日本人っぽい名前だな。シゲノリって名前は(かみ)重徳(しげのり)大佐を連想しちゃうよね。

「よろしくお願いします。全権大使のマリア・フォン・シュトレーゼンです。我が国の言葉がお上手ですね」

「ええ、実は貴国の高等学院に留学していたことがありますので」

 驚いたな。学院の先輩だったとは。ちょっと親近感が芽生えたよ。


 シゲノリ中佐の案内で街道を進み、街や村は食料の補給以外は素通りしていく。

 自動車の情報は密偵から得ていたのだろうけど、現物を見て、さらにそれに乗ることができて興奮気味のシゲノリ中佐だったよ。

 なお、案内人が私たちの自動車に便乗しているので、6台の隊列の先頭が私たちの自動車になっているんだけど別に問題はない。戦闘力の最も高いのが私たちの自動車だからね。

「これはなかなか素晴らしい移動手段ですなぁ。騎馬や馬車は馬の世話が大変ですし、常に速度を出し続けることもできません。ぜひ帝国にも輸出していただきたいですなぁ」

 なんだか暢気(のんき)な中佐さんだな。つい最近までは敵国だったってのに。


 黒船が襲来した例の小国へは、この速度なら三日くらいとのことだ。

 宿泊場所は基本的に野営となる。1個小隊+アルファの人数だから宿屋に泊まるのは無理なんだよね。食料調達や食事準備は問題ないんだけど、問題はトイレだよね。

 兵士さんたちは板を立てたり土を掘ったりと慣れた様子でトイレを作ってるけど、そんなの使いたくないよ。

 そこでアイテムボックスに入っている簡易トイレをこっそり取り出して私たち用に設置してるんだけど、シゲノリ中佐や兵士さんたちの目を盗んでアイテムボックスを使うのは気を遣うよ。

 てか、いきなりトイレが出現している現状に、シゲノリ中佐がめっちゃ話を聞きたそうにそわそわしてる。王国の持つ超技術で機密情報だと主張するしかないね。


 なお、この簡易トイレ、実は本当に超技術が使われている。なんとボタンを押すと溜まった排せつ物が異次元空間へ転送されるのだ。

 転移魔法を研究したときの副産物だね。実はこれ、うちの工房の職人たちにも内緒にしていて、私自身の手で作り上げた魔道具トイレなのだ。どやぁ。

 脱臭装置も推進器の応用でつけてるから、屋敷のトイレよりも快適だったりする。うん、良いものを作ったものだ。

 まぁ作ったといっても、既存の簡易トイレを少し改造しただけなんだけどね。

「マリアちゃん、このトイレって販売はしませんの?うちの屋敷にも欲しいんですけど」

「いやあ、ルーシーちゃん。これ私の手作りなんだよね。だから、一般販売は考えてないよ」

「な、なんですって。やはりマリアちゃんは神だったんですわ。こんなすごいもの、神様でもなければ作れませんもの」

 いや、転移魔法を研究していたときにふと思いついて作っただけなので、そんなに感動されるとなんか恥ずかしいな。

 ただ、私以外の全員は漏れなく感動していたけどね。ふむ、王国に帰ったら量産化を考えてみようかな。


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