187 射撃実験
ピクニックの翌日は荒野で実験だ。もちろんライフル銃、いや精密射撃装置のね。
自動車を停めたところからしばらく歩き、昔ストーンキャノンをぶっ放したところに到着した。
そこから1キロメートル先に分厚い鉄板を立てて的にするよ。さすがに貫通は無理だろうってくらいの厚みがある。
これは、あらかじめ作っておいた支柱付きで自立できるようにした鉄板で、アイテムボックスから出して設置した。いや、こんな重量物を運びたくないし。
精密射撃装置もアイテムボックスから出して、準備完了だ。まずは私が撃ってみよう。
まずは立射、次に膝射、最後は伏射だ。銃身に二脚を付けているので伏射でも狙いやすい。
ちなみに立射は立ったまま撃つこと、膝射は膝を立ててそこに肘を置いて撃つこと、伏射は腹ばいになって撃つことね。なお、伏射のために地面の上に布を敷いている。
ライフルスコープの角度については、伏射で数発撃つことで調整した。狙撃は基本的に伏射だよね。いや、よく知らんけど。
全員で交代しながら撃ちまくったけど、特に問題は生じていない。
ほかの人が撃っているときはマイ望遠鏡を使って弾着を確認したんだけど、全員なかなか上手です。火薬を使っていないから反動が無いしね。
なお、的の鉄板については、貫通はしないものの弾痕は生じる(へこむ)ので、命中確認はできてるよ。
そして5人の中で最も射撃がうまかったのがミカ様だった。
風を読んで射撃目標をずらして狙うことで、的の中心に命中させているよ。これって神業と言っても良いんじゃないかな。まさにゴ〇ゴ13。
実はミカ様を鑑定したら【弓術】の才能があったんだよね。だからライフル射撃もうまいんじゃないかと思っていたら案の定だよ。
「マリア様、この精密射撃装置ってすごい武器ですね。こんなに遠くから攻撃できるなんて…」
ミカ様の感想だ。うん、敵部隊後方にいる指揮官を倒すことで命令系統を混乱させるのが、狙撃兵の仕事だからね。
ついでに自動連射装置も試してみよう。
100メートル先に歩いて行って、そこに50本をロープでひとまとめにした木製の的をアイテムボックスから出した。ロープでまとめていると、固まりで一つの入出力になるので消費魔力を節約できるのだ。
そこから少し離れた位置に5本の的を立てて、100メートルほど離れてから自動連射装置で撃ってみる。
腰だめで特に狙いもつけず撃ってみたんだけど、さすがにこれだけ離れているとなかなか当たらないね。
まぁ引き鉄を引き続けて連射してるから、しばらくしたら5本全ての的を粉砕できたよ。
そのあと、全員で協力して残り45本の的を満遍なく立てていく。
私以外の4人にも自動連射装置を渡して、使い方を教えてあげた。
私の合図で私以外の全員が一斉に射撃を開始すると、次々と的が粉砕されていく。大迫力だね。
ミカ様だけは右肩に銃床をあてて1秒だけ引き鉄を引くってのを繰り返している。めちゃくちゃ命中精度高いな。
ブレンダが興奮してはしゃいでいる。
「何これ、何これ。マリア、これ超面白いんだけど」
武器なんだから面白いとか言っちゃダメだよ、ブレンダ。てか、私も実は楽しかったけど。