186 星の丘
工房の仕事を休むことになるけど、実はお兄様からはすでに許可を貰っているのだ。
純粋な休暇じゃなく、魔道具の実証実験を兼ねてるからね。
話し合いの結果、ブレンダの都合に合わせることになったので、5人でリヴァスト領へ行けることになった。
馬車で一日の距離だけど、自動車を使えば半日かな?
うちの三輪自動車で行こうと思ったら、アレンがリヴァスト家の三輪自動車を出してくれるってさ。おそらくアレンの運転になるね。
ということは、後部座席は女性4人の女子会になっちゃうよ。おしゃべり楽しそう。
出発の日、アレンがそれぞれの家々を回って私たちを拾っていってくれた。
シャミュア家の屋敷、シュトレーゼン家の屋敷、ブレンダの宿屋の順番だ。
朝、王都を出てリヴァスト領の領都を目指す三輪自動車、予定時間は馬車の半分の時間として約4時間ってところかな?
道中はアレンには悪いけど、女子会で盛り上がったよ。ミカ様も楽しそうだった。
リヴァスト家の屋敷に到着した件は省略するとして、翌日さっそく星の丘へ出発した。初日はピクニックの予定だからね。
荒野への横道を無視して直進し、なだらかな丘を登って頂上の木の下に自動車を停めた。ちなみに私が運転した。久しぶりに運転すると楽しいね。
後ろでアレンが冷や冷やしてたのが分かったけど、何?信用無いなぁ。私はこの自動車の開発者だよ。
「マリアちゃんの運転は緊張しますわね。生きた心地がしませんでしたわ」
え?ルーシーちゃん、ひどい。我ながら運転はうまいと思うんだけどな。
「帰りは私が運転するからね。マリアは後部座席ね、これ決定」
ブレンダさんや、自分が運転したいだけとちゃうんかい。
「マリア様の操車は問題なかったと思うのですが、何か問題があったのでしょうか?」
「だよねー。全然問題無かったよ。分かる人には分かるんだねー」
私がミカ様の発言にすかさず便乗すると、アレンとルーシーちゃんとブレンダからジト目で見られた。なぜだ?
「まぁ、とにかくこの丘の花畑はすごいよね。ミカ様どうですか?素晴らしいでしょう?」
私がすかさず話題を変えると、ミカ様も笑顔であたりを見回して言った。
「本当に素晴らしいです。こんな綺麗な場所に連れてきていただいて感謝します」
うんうん、そうだろう、そうだろう。
「マリアは自分ちの領地のように自慢してるけど、ここってアレン様の領地だよね。はっ!そうか、将来はマリアの領地でもあるってことか」
おーい、ブレンダ。何を不穏な発言をしてやがるんですかね。
そんなこんなでピクニックを楽しんだ私たちだったよ。
どうでも良いけど帰りはブレンダが運転した。私の運転と何が違うってんだ?