181 ライフルスコープ②
完成した凸レンズと凹レンズが納品されたので、あとはシャルロッテさんの出番だ。
レンズの組み合わせや対物レンズと接眼レンズの距離など、とにかく試行錯誤で作ってもらおう。私もよく分からん。
そしてレンズ納品から三日後、ついにスコープの試作品が完成した。
倍率は20倍、正立像でレティクルの十字線はレンズの中心に固定。レティクル調整はスコープ側で行うのが一般的だけど、構造が複雑になるから取り付け台のほうで調整する方式にしている。
すでにリヒャルトさんがライフル銃の試作品を完成させているので、それにシャルロッテさんのスコープを取り付ける。
おお、良い感じだ。
私はライフル銃を構えて、銃床部分を右肩に当て、左手は銃身の下の先台と呼ばれる部分をささえる。右手はグリップに、右手の人差し指が引き鉄(トリガー)にかかっているという形だね。うん、なかなか様になっているんじゃないかな?
なお、銃身はあるけど穴は開いてないよ。スコープが取り付けられていない場合に使用する照星(フロントサイト)があるだけだね。
右目でスコープを覗くと遠くの景色がくっきりと見えている。レティクルの線も良い感じだね。
スコープ取り付け台の上下調整ネジと左右調整ネジを回してみると、スコープ自体の角度が変わる(はず)。といっても肉眼では分からないけど…。なにしろ最大で1度の変化を100段階に分割して調整できるようにしているから、ネジを数回ほど回しただけでは目に見える変化は無いよ。
有効射程は1キロメートルなので、発射実験は1キロメートル先の的を狙いたいところ。でもそんなところは無いので、どうしようか思案中。アレンのリヴァスト領に行くという手もあるけど。うむ、どうしよう?
ちなみに、余ったレンズでシャルロッテさんが望遠鏡を作っていた。レティクルの無い普通の望遠鏡だね。
これがなかなか良い出来で、倍率は10倍と低いけど遠くを見るのにはとても便利だ。全長は30センチほどでコンパクトだし、私も一つ欲しいよ。
てか、これって発表したら大反響を呼ぶ、すごい発明品なんじゃないだろうか?この世界では。