018 家庭教師ナタリアの回想④
今日の魔法の授業は属性についてです。
5歳のマリア様に魔法に対する興味を持ってもらうため、実技を優先して授業してきましたが、そろそろ理論についても学んでいきましょう。
「属性は火・水・風・土の4つです。全ての魔法はこの4つのどれかに属しますね」
「スモールファイアやファイアアローが火で、ウォーターカッターが水ですか?」
「その通りです。やはりマリア様は素晴らしい理解度ですね」
属性が4つというところでマリア様の様子が少しおかしくなりましたが、相変わらず理解が早くて助かります。
しかし、この後のマリア様の質問には驚かされました。
「あの、魔道具のランプのように光を出すのはどの属性になるのですか?」
あれ?そういえばそうね。魔法にはランプのように発光するものはないけど、魔道具では確かに光を出しているわ。なぜかしら。
「もしもランプの魔道具が光という属性になるのなら、魔法でも光を出すことはできないでしょうか?」
魔道具でできることが全て魔法でできるわけではない(防御結界なんかは魔法では無理)ので、やってみなければ分からないけど、確かに試してみる価値はあるわね。
スモールファイアの呪文の中の火を光に、ファイアをライトに変えただけで試してみましょう。まぁ発動するわけないけど。
「光の精霊に対し奉る、我が指先に小さな光を灯す奇跡を賜らんことを。スモールライト」
一瞬だけど光りました!えっ嘘でしょ?こんな適当に作った呪文で?
「先生、すごいです。光りましたよ」
マリア様が喜んでいます。超可愛い。
試してみて良かったです。
しかし、驚きはこれだけで終わりませんでした。
「私もやってみます。指先を10秒間発光させよ。スモールライト」
「!!!」
言葉になりません。発動時間を秒単位で指定するって。そんなことができたの?
「先生のおかげです。スモールライトという魔法があったんですね。すごいです、大発見です」
マリア様が大喜びしています。まじ天使。
マリア様の偉業を魔法学会に発表して、王国中にマリア様のお名前を広めなければ!
そう思ったのですが、マリア様自身に止められてしまいました。残念です。




