179 攻撃用魔道具の開発②
私は工房の職人3人(クラレンスさん、リヒャルトさん、シャルロッテさん)を会議室に集めて、そこでミカ様を紹介した。
ファインラント王国のために武器となる魔道具を作りたいと言ったところ、リヒャルトさんだけが前のめりになった。てか、この人は珍しい魔道具を作りたいだけなんだよな。
「うーん、マリア嬢ちゃんの頼みなら聞いてあげたいところだが、人殺しの道具ってのがなぁ」
工房長のクラレンスさんが難色を示し、続いてシャルロッテさんもそれに同意した。
「そうですね。今までは軍用品であっても、命を守るための道具でしたからね」
本当は私もこの二人の意見に賛成なんだよね。
そこでミカ様の3年に渡る逃避行を説明し、家族が皆殺しにされたことや湖のそばで死にかけていたことなど全てを話した。
そして抵抗勢力や狙撃銃、サブマシンガンの構想を説明した。
「分かった。帝国野郎は許せねぇ。武器の開発は俺にまかせろ」
「私も帝国は許せません。帝国からファインラント王国を独立させるためなら武器の開発も厭いませんよ」
リヒャルトさんなんか泣いてるよ。
「自分の好奇心で開発しようとしたことが恥ずかしい。全身全霊をかけて強力な魔道具を開発します」
ミカ様に通訳してあげたら、覚えたてのグレンテイン語で話し始めた。
「ありがとう、ございます。皆さん、私、感謝します」
片言だけど意思は通じたようだ。
シャルロッテさんも涙ぐんでいる。
「よし、そうと決まればさっそく取り掛かるぞ。お嬢、魔法陣よろしくな」
「私は魔道具のデザインを始めます」
「あ、リヒャルトさん、デザインだけどこんな感じでお願いね。引き鉄を引くと発射される感じだね」
私はライフル銃やサブマシンガンのデザインを紙に描いたものを渡した。事前に描いておいたんだよ。
「私はガラス工房でスコープというものを相談してきます」
「うん、シャルロッテさん。おおよその設計図はこんな感じでいけると思うよ。問題はレンズの膨らみやサイズだね」
シャルロッテさんにもスコープの設計図を紙に描いたものを渡した。うろ覚えだけどプロなら何とかしてくれるだろう。