178 攻撃用魔道具の開発①
王宮へ報告した結果、ミカ様の身柄はシュトレーゼン家の預かりとなった。
屋敷の一室をミカ様の部屋として、お付きのメイドも手配した。問題は言葉の壁だね。ファインラント語が話せるメイドを募集してみるか。
『マリア様、私にグレンテイン語を教えていただけないでしょうか?』
ミカ様がグレンテイン語を話せればそれに越したことはないね。勉強は大変だと思うけど。
あと、友人たちにもミカ様を紹介したよ。
アレン、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん、ブレンダそれにリオン君だ。
アレンを紹介したときはイケメンパワーに心を射抜かれるのでは?と思ったんだけど、反応は普通だった。
でもリオン君を紹介したときは頬を染めて恥ずかしそうにしていたから、もしかしたら一目ぼれかもね。ふふ、良かったね、リオン君。
事情を説明したら、予想通り全員がミカ様を支援することを表明した。
心強い仲間たちだ。
私はミカ様へのグレンテイン語の家庭教師のほかに、やらなければならないことがある。
それは狙撃銃とサブマシンガンの開発だ。もちろん火薬で弾丸を発射するのではなく、魔道具で実現する。
ストーンライフルの魔法陣をアレンジして魔道具向けにするだけでライフル銃はできるはずだ。
ただ遠距離狙撃を成功させるためにはスコープが必要になる。これはガラス工房に依頼してレンズを作ってもらわないといけない。魔道具での実現は難しいし、望遠鏡の仕組みはそこまで難しくないからね。
サブマシンガンのほうは小口径弾を短い周期で発射するようにストーンライフルを改造すれば良い。こちらも魔法陣自体は簡単に描けると思う。
魔石さえ交換すれば弾丸の補給が必要ないというメリットは大きいよね。
抵抗勢力へ配布するには量産化が必要だけど、スコープだけがネックかな。
狙撃銃はミカ様専用にして、量産化はサブマシンガンだけにしたほうが良さそうだ。
私は攻撃用の魔道具(武器)を開発しないと決めていたのに、こんなことになるとは…。
いや、これもミカ様のためだ。祖国がなんとか帝国からの独立を果たし、ファインラント王国が復活できるようにしてあげたいんだよ。
さらに言えば、帝国がアメリーゴ共和国と講和できていないこの状況こそがチャンスだよね。帝国は我が国とも戦争中だから、ファインラントへの支援も隠さなくて良いし。