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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(2年目)
177/303

177 ミカ・ハウハ

 詳しい話をミカ様から聞いたところ、(おおむ)ね以下のような事情だそうだ。

・3年以上前に突然ガルム帝国が宣戦布告してきた。

・おそらく目的は王国内にある大規模な金鉱山。

・ファインラント王国軍の奮戦むなしく、数か月で全土を占領された。

・帝国はファインラントの併呑(へいどん)を宣言し、帝国の直轄領とした。

・捕縛された王族及び貴族は協力的な者たちを除き、全員が処刑された。

・ハウハ家は王弟(おうてい)の一族で王位継承権を持つ。

・ミカ様は三女で王様の姪にあたる。

・両親と姉二人は残念ながら亡くなられたそうだ(処刑された)。

・当時8歳だった末っ子のミカ様だけが護衛二人を伴い、国外脱出に成功した。

・ガルム帝国をなんとか突破し、グレンテイン王国に入国できたのが数か月前。

・1年前に一人、つい最近もう一人の護衛が病気で亡くなり、ついに一人となったミカ様はあの湖までなんとか歩いてきたそうだ。

・最終的には王都までたどり着いて、王宮へ保護を願い出るつもりだったらしい。

・ただ言葉は自国語(ファインラント語)しか話せないため、食べ物を恵んでもらうにも苦労したとのこと。

・空腹、疲労、風邪のトリプルコンボで湖の(ほとり)の花の中に倒れ込み、そこが死に場所だと覚悟したらしい。

・目覚めたら大きなお屋敷の中にいて、病気の介抱をされていたので助かったんだと安堵(あんど)する一方、屋敷の主人の人柄に不安を覚えていたそうだ。


 ここまでが私がヒアリングした内容だ。濃い人生だな。私なら途中で絶望したかもしれない。

 安心させてあげないとね。

 私は我が家の家族構成を説明し、銀鉱山や魔道具事業でお金があること、王国内での立ち位置などを話してあげた。

『あなたの身柄は私が必ず守ります。だから安心してくださいね』

 ミカ様が涙ぐんで私に告げた。

『ありがとうございます。感謝の言葉もありません。本当に本当にありがとう』

 こんな幼くて可愛い子を泣かせるとは、帝国許すまじ。

 まじで戦略級魔法ぶっ放すぞ。


 お父様、お母様、お兄様、お義姉(ねえ)さまにも上記の事情を説明し、同時にミカ様にも家族を紹介した。

 同時通訳するのってまじ大変だね。

 ファインラント語をしゃべれるのが私だけだと知って、ミカ様は少し残念そうだった。


 お父様が言った。

「王宮へは私から報告しておこう。ミカ様の身に危険が及ばないようにすることについては、私が保証しよう」

 ありがとう、お父様。ちゃんとミカ様にも通訳したよ。


 お母様も続いた。

「ミカ様、この子マリアがあなた様をしっかりお守りしますから、何も心配することはありませんよ」

 この言葉を通訳したあと、私も補足した。

『…ってお母様も言っています。その言葉通り、私がしっかりお守りしますからね』


 お兄様やお義姉(ねえ)さまもミカ様に優しい言葉をかけてくれた。

「ファインラント王国の未来までは保証できないけど、ミカ様の未来については僕が保証します。安心してください」

「ええ、私たち夫婦はあなた様の味方です。この屋敷をご自分の家だと思って(くつろ)いでくださいね」


 家族全員からの優しい言葉を聞いたミカ様は、また泣き出してしまったよ。

 よし、ファインラント亡命政権の樹立と、帝国への抵抗勢力(パルチザン)を組織することも考えてみるか。

 その際、武器となる強力な魔道具が必要だな。


ようやく後半のキーパーソンであるミカ・ハウハの登場です。

今後はこの子を軸に話が進んでいくことになります。


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